海外展開の可能性も大きな魅力
また、海外展開の可能性も無視できない。国内ラーメン市場は推定6000億円規模(2023年時点)に達し、店舗数は約1万8000店に上るとされる。近年は回復基調にあり、2019年から2023年にかけて47%成長、市場規模が1兆円を超えたという調査もある。しかしながら、人口減少に伴う国内成長の鈍化は避けられない。
一方、海外ではラーメン人気が爆発的に高まっており、特にアジア・欧米での出店機会は広がっている。吉野家ホールディングスは、製麺・スープ製造子会社の宝産業を核に、米国やフランスでの現地生産拡大を計画している。力の源ホールディングス(「一風堂」)は、すでに海外売上が国内を上回る勢いにある。グループ全体で国内151店舗(2024年12月末時点)、海外140店舗(2024年9月末時点)のネットワークを築き、アジアや北米市場を中心に拡大を続けている。
インフレ下でも価格転嫁が可能で、SNS時代にマッチし、海外でも成長余地がある──。ラーメン業態は、リスクがある一方で、大きな魅力を秘めた投資対象と映る。
大手外食企業や新興勢力が、こぞってラーメンM&Aに動く理由が、ここにある。
一方で倒産する店は過去最多
ラーメン業態には、大きな可能性がある一方、無視できないリスクも潜んでいる。
まず顕著なのが、倒産リスクの高まりだ。帝国データバンクによると、2024年のラーメン店倒産件数は、前年比3割増の72件と、過去最多を記録した。背景には、インフレによる原材料費や光熱費の高騰、さらには人手不足問題がある。かつては低コストで開業できる業態とされたラーメン店だが、いまや経営環境は一変している。とりわけ、資金力に乏しい個人店・中小店が打撃を受けやすい。
一方で、企業傘下に入ったラーメンブランドも、油断はできない。味の再現性やオペレーション効率を追求するあまり、「個性が薄れた」「チェーンっぽさが強まった」と消費者に映れば、たちまち支持は離れていく。ラーメンは嗜好性が強いジャンルゆえ、ブランディングの失敗が命取りになりかねない。
さらに、ラーメンの収益構造にも特有の難しさがある。ラーメンは、一品完結型で比較的高い粗利を狙えるメニューとされる。原材料原価はおおむね30~40%台に収まるため、フード単体でみれば収益性は高い。しかし、スープ炊きや麺ゆでといった工程に時間と技術を要するため、人件費や光熱費といったオペレーションコストが重い。
本当に収益を上げるには、オペレーション効率化と、ギョーザなどのサイドメニューによる単価向上を同時に進める必要がある。成功するラーメンチェーンは、この両立を巧みに実現しているのだ。

