介護ヘルパーには、女性が多いが、やはりセクハラに悩まされることも多いという。ある介護ヘルパーはこう語る。

「ある男性の方の家に訪問していた際に、背後から胸をもまれて、思わず怒鳴り飛ばしたことがあります。何度も『やめてください』と言ってもしつこくて、下半身にまで手を伸ばしてくるんです。他のヘルパーにも同様のことをして、かなりきつく言われたらしく、今ではせいぜい指で胸をチョンとやる程度になったそうですが……」

もちろん、言葉上のセクハラとなればきりがなく、「ご主人とどれくらいやっているんだい?」とか、「彼氏とは?」程度になれば、ごく日常会話。特に、体が密接になる入浴介助の際には、ここぞとばかりに、胸を触ってくる高齢者は、数知れずとか。

ある事業所の責任者はこう指摘する。

「セクハラは日常茶飯事です。いちいち取り合っていたら、仕事はできません。相手は、体のご不自由な高齢者です。どううまくかわせるかが大事ですね」

お手伝いさん扱いの介護ヘルパー

介護の現場では、かなりの割合で認知症の高齢者も介護する。「4人に1人の割合」と答える事業所もある。認知症の高齢者は、感情の起伏が激しく、日によって、介護ヘルパーへの対応も激変するという。ある介護ヘルパーは語る。

「認知症の方は、攻撃的になることも多いですね。また、前日のこともすっかり忘れている方がほとんどですから、何度伺っても『何しに来たんだ! 帰れ!』と怒られる方もいます。さらに、ずっとしゃべり続けている方が多いのも特徴的ですね。『どこから来たの? 子供は何人?』など同じことを繰り返し話されて、調理をしている横に立って、ずっとしゃべられている方もいます」

認知症の高齢者とのコミュニケーションでも特にトラブルになるのが「モノ盗られ妄想」だという。

「モノがなくなってしまったと騒がれる認知症の方は多いですね。自分で置いた場所を忘れてしまうんです。そして、私たち介護ヘルパーに『おまえが盗ったんだろう』と詰め寄られるときには本当に困ってしまいます。そういう場合、私たちも根気強く、一緒に探して解決するんですが……」