海苔もラーメンのご馳走

このあたりでコリコリッとした自家製メンマを食べて、口をリセットして少し落ち着かせる。

次は海苔のりだ。海苔はスープに浸からないように盛り付けてある。メンマを食べる前に、海苔をスープの中に沈めておく。30秒くらい経って、海苔に油脂とスープを吸わせてから食べてほしい。トロッとしてうまいから。

そして、すぐに麺をすする。これがまたおいしい。海苔で麺を包むようにして食べる方もいるが、僕としては佐賀県産の一番摘み海苔を使っていることもあり、海苔だけの味も体験していただきたい。

あとはネギだ。京都から九条ねぎを取り寄せている。食べているうちに散らばっているから、合間につまんで口直しをする。そして、またメンマを食べて、麺をすすって、豚バラの煮豚のチャーシューを食べて、スープを飲んで、と繰り返していたら食べ終わる。

醤油の風味をストレートに感じられる美しい琥珀色のスープ
写真撮影=合田昌弘
醤油の風味をストレートに感じられる美しい琥珀色のスープ。表面には鶏油と豚ロースのA脂が光る。

味の変化を楽しんでほしい

一杯のラーメンを食べる流れの中でとくに感じていただきたいのは、最初は醤油の風味だ。醤油がもつさんもあって、キレのある醤油の味と香りがいい感じで続く。それが後半になるにつれて変化していく。

麺を動かしながら食べているから、麺からもスープに味が出る。小麦のでんぷんの甘さがスープに移っていく。すると醤油のキレはおさまり、今度は味に丸みを帯びて、実にふくよかな味わいになっていく。最初と最後で味が全然違っている。

そういう変化を楽しみながら食べていただくと、最後まで飽きることがなく、おいしいはずだ。

「純水」へのこだわり

スープを炊く水は、逆浸透膜システムを導入して純水に近いものを使っている。

水道水だと、舌にひっかかるような違和感が出る。水道水やミネラルウォーターのほうが、水に厚みがあるので、ボディーのある、おいしいと感じやすいスープにはなる。

しかし、僕はあえてそれらを使わない。水にスープの骨格をつくられるのが嫌だから、限りなくゼロに近い水に、きれいな旨みだけを足していく。

水の力に頼ることをしない。だから原価はめちゃくちゃかかる。でも僕は、真っ白なキャンパスに絵を描くイメージでスープをつくりたいと思ってやってきた。