アル・プラザは百貨店的機能も持つ
この姿勢を具現化しているのが、平和堂の二本柱の業態だ。ひとつは近年主流となっているスーパーマーケット業態「フレンドマート」。そしてもうひとつが、総合スーパー業態「アル・プラザ」だ。
食品から衣料、住居関連商品までを揃える「アル・プラザ」は、地方都市において百貨店的な機能も果たしており、ファミリー層や高齢者にとっては“ここに来れば何でも揃う”存在だ。近年ではLOFTや無印良品、ゴンチャといった人気テナントを導入する改装も進めており、若年層の新規顧客獲得にも力を入れる。
こうした取り組みにより、実際に若い世代の来店数や売上の伸びが確認されるなど、成果が現れ始めている。外食、イベント、カルチャースクールも併設し、「地域のにぎわいの核」として機能する。コロナ禍を経て「近場で、安心して、すべて済む」拠点として、改めて価値を高めている。
生活支援型の取り組みとして注目されるのが「ホーム・サポートサービス」だ。高齢者や子育て世帯に向けて、商品配達や見守り、重たい品物の買物代行などを行うサービスで、単なる“宅配”ではない。「電球を交換してほしい」といったちょっとした生活の困りごとにも対応しており、「顔の見える支援」が地域住民からの信頼につながっており、“日常の困りごとをまかせられる存在”として定着している。
PBブランドは「E-WA(イーワ)」
商品政策にも「平和堂らしさ」はにじむ。プライベートブランド(PB)として展開する「E-WA(イーワ)」は、「イイワ、というおいしさ。」をキャッチコピーに掲げ、品質と価格のバランスを追求したアイテム群。食品を中心に約500商品を展開し、手頃な価格と確かな品質を兼ね備え、着実にファンを増やしている。
代表的な商品には、素材本来の風味を生かした「E-WA 国産大豆の絹ごし豆腐」、コクのある味わいとコスパで人気の「E-WA ビーフカレー」など。これらは「手頃なのに、ちょっと良いものが食べたい」という生活者の“今”の気分に応える商品群だ。
デジタル戦略では、「HOPカード」をベースにした電子マネー「HOPマネー」やアプリ型プリペイド決済「HOP WALLET」を展開。滋賀銀行・ゆうちょ銀行との連携によるチャージ機能を持ち、地域金融との協働も進める。また、アプリ内でのクーポン配信、レシピ提案、健康関連コンテンツなどを通じて、来店と購買の循環を強化する。
「三方よし」近江商人が発想した「滋賀モデル」
それでも平和堂の原点は「人と地域」だ。滋賀県は「三方よし」で知られる近江商人を輩出した地。平和堂は出店開発では住民との対話を重ね、立地特性を読み解きながら、「この街に必要とされる店とは何か?」をゼロから考える。
2024年にリニューアルオープンした「フレンドマート長浜祇園店」はその象徴である。売場を1.3倍に拡張し、駐車場も拡充。30~40代の子育て世代を狙った売場構成とサービスで、長浜市内の店舗シェアを28.5%から30%超へと押し上げる戦略だ。地域文化との連携も積極的だ。



