適切な回答を引き出す「6つの聞き方」

こういった人を“ダメな奴”と一蹴してしまいたくなるかもしれませんが、それではビジネスは前に進みません。

尋ねる側が「聞き方」を工夫することで、コミュニケーションを“噛み合う”ものにできる可能性が高まります。

具体的な手法としては、

① 質問の目的、意図を明確にする
② 答え方を指定する
③ 質問を分割する(複数の情報について一度に聞かない)
④ 質問の前に前提を確認する(相手が持っている情報や認識を先に確認する)
⑤ 回答を途中で整理し、質問の意図から外れそうになったら軌道修正する
⑥ 時間や条件の制約を設ける

が挙げられます。例えば、

「αさん、現在、○○プロジェクトにかかわっておられますよね(④)。今フェーズの終了タイミングでの部長による確認会議のスケジュール調整のために教えて下さい(①)。今フェーズの終了日は来週金曜日で正しいですか?」

と質問します。もし、それでもαさんが直接的に答えないようなら、

「プロジェクトの進捗状況については別途、時間を取らせてください(⑤)。部長のスケジュールを押さえるために今フェーズの終了日の確認を急いでおり(⑥)、今必要な情報は、今フェーズの終了日が来週金曜日で合っているかどうかです(①)。『合っている』『間違っている』『わからない』の3つからお答えいただけますか?(②)」

と、重ねて聞くのがいいでしょう。

最後の一文のように答え方を3択で指定するのはかなり“荒業”ではありますが、業務上必要な回答を得るためにはやむを得ない場合もあります。

Right Or Wrong
写真=iStock.com/atakan
※写真はイメージです

質問を分割して話の脱線を防ぐ

③の「質問を分割する」は、今フェーズの終了日を確認すると同時に、上役が気にしそうな情報(例えば次フェーズ移行に関するリスク)に対する準備ができているかどうかを確認する必要がある場合などに使用できます。

先のような質問を通じて締め切りの回答を得たうえで、

「締め切りは来週金曜日ですね、ありがとうございます。ところで部長が気にされそうな次フェーズ移行に関するリスクをまとめた資料は準備されていますか?」

と、段階を踏んで質問を重ねていきます。

これを一度に尋ねてしまうと、「次フェーズ」「リスク」といった単語に反応して、話が脱線してしまう可能性が高くなります。