なぜ、コメ高騰の最中、大量に調達できるのか?

2024年から続く米の価格高騰は、コンビニにとっても無視できない課題だ。CPIの「米」項目でも高止まりが続き、一般家庭にとっても米は“高級な主食”になりつつある。こうしたなかで政府は備蓄米21万トンの市場放出を決定。コンビニ各社は、こうした制度を活用しながら契約農家との連携強化で安定調達を実現している。

米が“贅沢”に映る今こそ、米食文化の価値を再訴求する絶好のタイミングだ。長期的にコメの消費量は減少傾向にあるが、今年の“コメ不足”報道がきっかけとなり、米への注目が一気に高まった。この流れをチャンスと捉え、コンビニ各社は“米の魅力”そのものを前面に押し出している。「冷めてもおいしい」「ふっくらした炊きたてのような食感」など、炊飯技術の進化をアピールしながら、生活者に“おいしい米ごはん”を再体験してもらう構えだ。

セブンは「世界ごはん万博」で「豚なんこつ」や「牛すき焼き」など地域ごとの特産を取り入れた具だくさんおにぎりを展開。ファミマは「ちょいデリ×おむすび」の組み合わせで、サラダやおかずとのセット提案を進める。ローソンは「まるで天津飯」「まるで親子丼」といった、“おかずごはん系”おにぎりで食べ応えを訴求している。

地域連携を進めるセブンの「一番だしおむすびわさびめし静岡県産本わさび」。
画像提供=セブン‐イレブン
地域連携を進めるセブンの「一番だしおむすびわさびめし静岡県産本わさび」。

消費者の声にも注目が集まる。「300円するけど専門店レベルの味」「朝は必ずおにぎり2個買う」「冷凍庫に常備している」など、SNSやレビューサイトでは“リピート前提”の評価が目立つ。節約志向の中でも、「価格に見合う価値」が感じられる商品として受け入れられている。

ファミマはアンバサダーに大谷翔平を起用!

そして、話題性で頭ひとつ抜けたのがファミリーマートだ。2025年3月、「おむすび二刀流、解禁。」と題したキャンペーンを打ち出し、アンバサダーにMLBのスーパースター・大谷翔平選手を起用した。

専門店「ぼんご」監修による「手巻 肉そぼろ(卵黄ソース)」「高菜明太マヨ」など本格的な味わいの新商品を展開。1.5倍サイズの「大きなおむすび」シリーズも加わり、商品の幅も広がった。成型機の刷新や炊飯工程の見直しによって品質を向上させ、消費期限延長にも成功。キャンペーン開始からわずか1週間で累計300万個を販売、前年比120%超の伸びを記録した。

SNSでは「大谷が打てばファミマに行く」といった投稿も広がり、商品力と話題性が高次元で融合した成功事例となった。