消費者が求める「タイパ」に応える

その魅力のひとつが、タイパ(タイムパフォーマンス)の良さだ。片手で手軽に食べられ、短時間でしっかり満腹感を得られる。パンやカップ麺に比べて栄養バランスにも優れ、冷めてもおいしいという技術革新がその人気を支えている。

利益構造の面でも見逃せない。おにぎりの原価率は概ね70%前後とされるが、棚回転率の高さと販売数の多さから、コンビニ全体の利益を支える“量で稼ぐ商品”だ。さらに、「金しゃり」や「ごちむすび」などの高価格帯商品が増えたことで、粗利益率も改善傾向にある。

製造体制にも磨きがかかる。多くのコンビニおにぎりは各地のセントラルキッチンで24時間体制で製造され、衛生・温度・加圧の管理が徹底されている。最近ではロボットと人の協働による成型工程の効率化も進み、均一な品質と大量供給を両立している。ローソンでは、こうした体制を活かし「冷凍おにぎり」の展開も強化。保存性の高さは食品ロス対策に加え、米の調達時期の平準化や仕入れコストの分散にもつながる。

ローソンは冷凍おにぎりも強化。
筆者提供
ローソンは冷凍おにぎりも強化。

「米選び」が品質に直結する

原材料の調達力も、大手コンビニの強みだ。全国規模の物流ネットワークと調達ルートを活用し、米の不作や価格高騰といったリスクにも柔軟に対応できる体制を築いている。基本的には国産米にこだわりつつも、需要に応じてブレンド米や一部輸入米の活用で価格の平準化を図る。おにぎりに使用する米は、粒の立ち方や冷めたときの粘りまで計算されており、調達だけでなく「米選び」そのものが品質に直結する重要なプロセスとなっている。

また、惣菜メーカーとの提携や、外部パートナーとの共同開発などで原材料費の分散や交渉力の強化を図る例も多い。価格転嫁の抑制だけでなく、商品開発の幅を広げる意味でも、調達の工夫が活きている。