イギリス人医師が渡したメニュー表

バンティングが太り過ぎだと言われたのは初めてではなかった──今までにも同じことを言われ、数えきれないほどのアドバイスに従ってきた。冷たい風呂にも熱い風呂にも入ったし、何時間も乗馬をして、何キロもボートを漕いで、食べる量も減らし、カリウムを飲み、各地の保養地に滞在した。しかしどれも役に立たなかった。唯一の変化は体重がさらに増えたことくらいで。

しかしハーヴィはバンティングを納得させることができた。自分が飼っていた馬の話をしたのだ。その馬はとても太っていて「馬の大腹病」だと診断されたが、それがどういう病気であれ診断は間違っていた。単に食べている餌が悪かったのだ。

干し草ではなく穀物を食べていた。バンティングの健康問題を解決するにはその馬と同じように考えなければいけない。穀物その他の炭水化物を避ければウエストのサイズを制御できるようになる。ハーヴィはメニューを書いて渡した。

9時に朝食:120~150グラムの牛肉、仔羊肉、腎臓、茹でた魚、ベーコンあるいはハム(豚肉や仔牛肉は避ける)、ミルクなしの紅茶またはコーヒー1杯、ビスケットあるいはトースト1枚。

14時に昼食:150~180グラムの魚(サーモン、ニシン、ウナギ以外)あるいは肉(豚肉や仔牛肉以外)、野菜(ジャガイモ、パースニップ、ビーツ、カブ、ニンジン以外)、無糖のフルーツのコンポート、トースト1枚、赤ワインまたはシェリー酒2~3杯。

18時に軽食:茹でたフルーツ100グラム、ビスケット2~3枚、ミルクや砂糖を入れない紅茶。

21時に夕食:昼食と同じ種類の肉または魚を90~120グラム、必要なら寝酒としてジンのグロッグ、ウイスキー、ブランデーまたは赤ワインを1~2杯。

炭水化物が少なく、たんぱく質と脂肪が豊富な食事だった。アルコールを断つわけでもなく、経済的に豊かな人間向けのメニューだ。