対応が違えば、もっと影響は小さく、誹謗中傷も防げた

12月の初報道の際に、各番組で中居正広氏がスーツを着て謝罪をしてひとまず最終回、そして番組名などをアレンジしてMCを替えて再開というやり方も、対応次第では可能だったかもしれない。

中居正広氏本人も、表舞台から引退するにせよ、 もっと綺麗な身の引き方があったはずだ。

だが初動を間違えた結果、フジのスポンサー150社超のうちすでに半数以上が離れ、中居氏の全番組は突如終了、テレビ業界・ラジオ業界で働く人々に多大なダメージを与えた。イメージの悪化から今後の求人に影響が出る可能性もあるだろう。

何より、被害者と噂される人物が誹謗中傷される結果ともなった。引退報告で、厳に二次加害を慎しむよう呼びかけることを、なぜ彼はしなかったのか。

中居正広氏引退で幕引きではなく、テレビ局は総点検を

フジテレビ本体は、最悪の場合には身売りするなどして存続の道を図るのかもしれないが(生き残りのため、監督官庁である総務省との癒着を強めるのは最悪の展開だ)、系列の地方局は経営基盤も小さく、大打撃だろう。

中居正広氏・フジテレビの問題はこれで幕引きではなく、まだまだ続く。TBS、日テレ、テレ朝と、民放各局はすでに社内調査を行うことを発表した。これを機に、人権をないがしろにしないための各局の倫理要綱が「形骸化」していないか、総点検が必要だろう。そうするしかテレビ業界の信頼回復の道はない。