雇い控えと賃下げがもたらす「人余り不況」

今日まで一貫してしかも青天井で増大してきた社会保険料負担は、企業にとって雇い控えや賃下げをもたらし、社会全体に「人余り不況」をつくってきた。「人余り不況」によって労働市場からダブついた低所得層が、その社会保険料が天文学的につぎ込まれた(ことによって大きな雇用のパイがつくられていた)医療・介護業界という「受け皿」に大量に流れ込んだ。

人余りと不況が延々と続いたいわゆる「失われた30年」と呼ばれた期間は、自民党と厚生労働省(旧厚生省)が二人三脚で目指してきた「医療・福祉大国」にとってあまりにも好都合だった。ここになんらかの政治的陰謀や作為があったかどうかは分からないが、そう言いたくなってしまうくらいには世の中の趨勢はかれらの思惑通りに運んでいった。企業の雇い控えによって冷え込んだ実体経済のあおりを受けて、あぶれた労働者が医療・福祉業界に流れていった。

車椅子の患者に寄り添う看護師
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余談だが、2024年末に支給されたボーナスは各社とも大幅な増額に沸いたようだが、皆さんの受け取っている賞与に社会保険料が適用されるようになったのは2000年の法改正(2003年4月施行)の総報酬制の導入からである。これは森内閣~小泉内閣の時期のことで、一般的にはこの時代は「日本における新自由主義の台頭が決定的になった」と振り返られることが多いが、介護保険法の成立も同時期であり、制度的にはむしろ社会主義的な福祉大国に向かうための下準備がおおよそ整った時代だったのだ。