子どもたちが「決める」全校ミーティング
週1回「全校ミーティング」が開催され、全小中学生と大人が体育館に集まり、議長の進行のもと、子どもたち自身で議題を決めて話し合う。この場では、子どもたち間のトラブルや行事、日々の生活について議論が進められる。
取材に訪れた日、ちょうど「全校ミーティング」が開かれた。見学者は子どもたちに承認されなければ、その場に同席することができない。堀さんから子どもたちに「佐藤さんが取材にきていますが、ミーティングに参加してもらってもいいかな?」と議題が投げかけられた。結果、子どもたちの挙手によって参加の許可を得られた。
この日の全校ミーティグでは、子どもから出された「ツリーハウスのデッキの部分がケガをしやすいので修理をしたほうがよいのではないか」という議題。多くの大人は、「ケガをするなら、すぐに修理しないと」と思うだろう。
しかし、当校では子どもに関わることはみんなで話し合って決めていく。
子どもたちからは「修理したほうがいい」という声もあれば、「修理している最中に遊べなくなるなら、今のままでいい」という意見も出た。
最終的に、「修理をする」or「修理をしない」で多数決がとられた。当校では、多数決において子どもも大人も同じ1票だ。今回の全校ミーティングの結論としては、「修理が必要なのは1階部分だけなので、遊びに使えないわけではない」という発言が決め手となり、修理を進めることとなった。
小学1年生にも寮を用意する理由
当校には、自宅から通う子と寮から通う子がいる。毎年、どちらにするかを選ぶことができる。そのため、小学1年生から寮に入る子もいれば、中学3年生の最後の年だけ寮生活をしてみようと決める生徒もいる。
きのくに子どもの村学園では、入学願書が出された子に対して2泊3日の体験入学をしてもらう。そして、寮で生活しながらプロジェクトを経験する。
保護者は同伴しないので、年長の子どもたちは身の回りのことを自分で行う。ひとりで着替えができない、お風呂にひとりで入れないなど、その子が抱えている生活の中での“できない”はまだたくさんある年齢だろう。私が話を聞いた家庭では、体験学習に向けて子どもが張り切って、自分ができることを増やそうとしているという。
体験入学を経て、受け入れられる場合は入学へと進む。(現在は定員以上の応募が集まり体験入学を待っている子もいる)。保護者がいくら「入れたい!」といっても、子どもが気乗りしなければ入学はできない。