「土地の所有者」は誰なのか

3.不動産

まずは「土地の有無」や「名義」、「住宅ローンの有無や残債」を確認しましょう。本稿の冒頭に紹介した事例以外にも、実家の土地が「実は借地だった」というケースがありました。“契約期間が終了したら更地にして返還が必要だった”という条件もあったようで、苦労されていました。

少し視点は異なりますが、この機会に家の隅々まで見て、「補修が必要なところはないかどうか」もチェックしましょう。

実家がどの程度傷んでいるのかは、実際に住んでいないといまいちわからないものです。親が介護を必要になった際に住み続けられるのかという観点でも、ぜひ家じゅうを確認しましょう。将来必要な費用の見積もりが大きく変わってきます。

そのほかにも、田舎に土地があるという場合は、「正確な場所」や「所有者」を確認してください。山を持っていたり、今は使われていない家屋があったりします。また、名義人が複数いたり、名義の書き換えが済んでいなかったり、名義人が亡くなっていたりすることも稀にあります。事情を知っている人が生きているうちに早急に対策を取る必要があります。

仮に、何も知らずに相続してしまった場合、見ず知らずの親戚を探し出したり、役所に書類を集めるのに膨大な時間を割いたりと、相続の手続きだけに忙殺されてしまいます。

「何の年金を」「いつから」「いくら」もらえるのか

4.年金

公的年金には、老齢年金、遺族年金、障害年金の3つの種類があり、親がいま「どの年金をいくら受け取っているのか・いないのか」「いつから受け取るのか」も確認しておきましょう。

年金手帳
写真=iStock.com/Hana-Photo
※写真はイメージです

仮に親が亡くなったら、年金に関しても速やかに届け出が必要です。そこで届け出が遅れてしまうと、返金が必要になることがあります。もし返金しないと罰則もあり得るようですから、知らなかったでは済まされない話です。

一方、親がまだ年金を受け取っていないという場合は、もしかしたら繰下げ待機中なのかもしれません。一切受け取らずに亡くなった場合、最大5年分遡って遺族が年金を受け取ることができますので、「いつからもらうのか」も聞いておくとよいでしょう。

また条件によっては遺族年金を受給できるかもしれません。国の年金は高齢期の親の生活を支える大切な資金です。パートナーを失い、遺された親が金銭面で困らないよう、事前に子供たちが知っておくと安心かと思います。