選手の暑さ対策はできている
今年は梅雨らしい梅雨がなかったこともあり、7月の上旬から日差しは強かった。
それでも7月上旬は、風は涼しくしのぎやすかった。7月中旬以降は朝から空気が暖められて熱風が吹き始めていた。そして甲子園の大会が始まる8月上旬には、朝から耐え難い暑さになっていた。
ただ、観戦していて感じたのは「選手はまだこの暑さは耐えられるのではないか」ということだ。
「暑熱順化」という言葉がある。軍隊などで炎天下に重装備で行軍練習をするなどして、夏の暑さに耐えられるように体質を変えることを言う。
高校野球部でも、あえて炎天下にノックなどの猛練習をすることで、夏の暑さに耐えることができる体質を作る練習が行われている。選手が「試合よりも練習がきつい」というのは、このためだ。選手にとっても過酷な環境ではあるが、それなりの「準備」はできているのだ。
それに地方球場であってもバックネット裏の本部室や会議室などは空調が利いている。ドリンクタイムなどにはこうした部屋に駆け込んで冷風に当たることも可能なのだ。
もちろん「連合チーム」など、練習機会に恵まれない学校の選手は暑熱順化できていない可能性があるが。
灼熱に晒される観客たち
一方で、応援団や観客の多くに暑熱順化できている人はそういない。退避場所もそれほどない。耐え難い暑さにさらされて熱中症になる人も多い。
炎天下で演奏する吹奏楽部の生徒なども、気分が悪くなって日陰に駆け込む人がいた。応援席には、冷凍したペットボトルのドリンクを配って回る人がいる。筆者もいくつか受け取った。「学校関係者ではないので」と断ったが「誰であっても倒れられては困りますので」と渡された。
地方大会の会場となる球場の多くは、内野部分に屋根や庇が設置されていない。観客は直射日光にさらされる。逃げ場がない印象だ。
そういう球場でも外野席には樹木が植えてあって日影があるのだが、地方大会では管理の関係上、外野席を開放していないことが多い。しかし暑さ対策を考えるなら外野席の開放も考えるべきだろう。
そして選手や観客以上に、厳しい状況に置かれているのが審判だ。審判は選手と異なり、攻守交代の際もベンチに戻ることはできない。ボールボーイが持ってくる飲料を飲むくらいしかできない。