名前や住所が変わったり、本人が忘れているケースも

なぜ、これほどまでに企業年金のもらい忘れが多いのかと言えば、さまざまなケースが考えられます。

たとえば、A子さんの場合、短大卒業後に大手商社に3年ほどお勤めをしていましたが、そこで良いお相手に巡り合い、結婚しました。結婚後は専業主婦として子育てに忙しく、会社に勤めていたことすら忘れていました。

本来ならば3年間勤めていて「企業年金」にも加入していたのですから、原則65歳から「企業年金」をもらうことができますし、それを知らせる通知も受け取れるはずです。

ところが、A子さんのところには、その通知が届きませんでした。なぜなら、結婚したことで苗字が変わり、さらに結婚と同時に新居に移り、さらにマンションを買って引っ越したので、年金のお知らせの送付先がわからなくなってしまったのです。

引越の概念(ミニチュアハウスと「動く」という言葉)
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しかも、何十年も前に勤めた会社ですから、本人も「企業年金」に入っていたかどうかも覚えていない。それ以前に、自分の会社に「企業年金」があったことさえ知らなかったのですから、これでは自分から請求できるはずはありません。

実は、こうした人は、意外に多いようです。

会社が倒産していても「企業年金」はもらえる

人によっては、退職時に厚生年金の「加算年金」を一時金で受け取っているので、それで終わりと思っている人もいるようです。

また、自分が勤めていた会社が倒産してしまったので、「企業年金」のことは知っていても、もらえないだろうと諦めてしまっている人もいるようです。

けれど「企業年金」は、会社が倒産していたり、加入していた厚生年金基金が解散したりした場合でも、積み立てた年金は企業年金連合会に移管されているので、そこから年金をもらうことができます。

また、「厚生年金基金」の加入員証を紛失してしまったのでもらえないと思っている人もいるようです。

ただ、加入員証の代わりに国の「年金手帳」や「基礎年金番号通知書」、または「年金証書」があれば受給手続きは可能です。

まだ年金をもらう年齢ではないけれど、この記事を読んで、自分が該当すると思った人は、企業年金連合会に連絡してみましょう。そこで、住所・氏名の変更手続きをしておけば、年金がもらえる年齢になったら手元に通知が届きます。