〈「間違いない“アレ”だ」ディズニーランドのキャストが絶句した「お客様のヤバすぎる落とし物」〉から続く
ミッキーマウスでおなじみのディズニーランド。もしそこに“ネズミ”の死骸が見つかった場合、従業員たちはどう対応するのか…? ディズニーランドのキャストの表と裏を描いた、笠原一郎氏の書籍『ディズニーキャストざわざわ日記――“夢の国″にも××××ご指示のとおり掃除します』(三五館シンシャ)より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/前編を読む)
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ディズニーランドで嘔吐するお客たち
ゲストは嘔吐する場所を選ばない。とくに揺れ動くアトラクションは嘔吐を誘引しやすい。
アトラクションの中での嘔吐処理もまたわれわれカストーディアルキャストの仕事である。
その日、私は「ジャングルクルーズ」のボート上での嘔吐処理を依頼された。
ゲストがひとりもいない客船に私がひとりで乗り込む。
「ジャングルクルーズ」が貸し切り状態で、人によっては貴重な体験かもしれないが、私の目の前にはこんもりとした吐瀉物が残されている。気分が盛りあがることはない。
船が一周するあいだに吐瀉物をきれいに取り除き、消毒し、その後始末まですべてを終わらせなければならない。それが私に課せられたミッションなのだ。
すぐに取りかかるが、大きく揺れ動くボート上での下を向いての作業で早々に気分が悪くなってくる。
とはいえ、タイムリミットは10分。休んでいるヒマはない。私はゾウやワニ、カバたちにわき目もふらずに清掃作業を続けた。
そして、ちょうど一周が終わろうとするギリギリのところで、無事に後片付けを済ませることができた。
揺れる船内での下を向いての急ぎ作業はもう少しで私に新しい吐瀉物を作らせるところであった。
楽しかった体験もある。
「イッツ・ア・スモールワールド」のボートでの嘔吐処理だった。