「キャリア」は仕事だけではない
とかく私たちはキャリアというものを仕事だけで見がちである。仕事という一幕の演劇で人生という舞台を捉えがちなのである。
しかし、伊能忠敬の二幕構成の人生は、「ワークキャリア」のみの閉塞した考えから解放してくれる。私は人生を全体で捉える「ライフキャリア」という考え方を推奨しているが、伊能の人生はまさにこの考え方にぴったりではないか。
「今こそ、日本人は、二幕構成のライフキャリアを考えるべきなのではないのかね?」
伊能忠敬のフォースゴースト(霊体)は、墓前にいる私にこう語りかけた。
定年後の35年を退職金と年金だけで暮らせるか
多くの人は65歳の定年まで働き切って退職金をもらい、加えて年金で暮らしていく人生80年モデルに囚われたままである。
定年後35年は退職金と年金のみで暮らすことを前提にしている人には自力で稼ぐという発想がまずない。
しかし、戦争で石油が高騰し、食費や電気代も値上げされ、日本全国で地震が頻発する環境下で、本当に退職金と年金だけで安心して暮らしていけるのか、と私のような臆病者は心配でならない。
その心配を払拭する処方箋は、伊能忠敬が実践した二幕構成のライフキャリアに学ぶことだろう。