ポスト数を人事管理の基本に

【海老原】欧米、たとえばドイツではマイスター認定という公的な制度がありますね。この処遇などがその典型なんです。年功と職業訓練、そしてテストによりマイスター資格をとった人が出たとしましょう。日本であれば、資格をとったんだから、社内でもマイスターとして処遇するでしょう。でも、ドイツだと、職場にマイスターポストの数が決められているので、誰か辞めないと認定されません。日本型は能力ストックを期し、ドイツではポスト=組織設計を重視する対称的なケースでしょう。

【江夏】日本は組織内の流動性が高く、市場での流動性が低いわけです。

【海老原】そうですね。そのためにも、「人ではなく、ポスト数を人事管理の基本にする」という転換は重要でしょう。たとえば日本だと新人が3年くらい働くと昇格して等級が上がります。それは何人上がっても別段問題はありません。ところが、欧米のように一格上を「サブリーダーというポスト」にしておき、その数は組織設計上、各部署に「3つ」と決めて置いたら。そのポストが埋まっている限り、下にいる人はどんなに頑張っても昇格できません。そうしたら、「他社の空きポストに応募しよう」と転職する人が増えます。

評価の低い人が昇給できる仕組みにメスを

【海老原】結局、組織設計から入って、各部署の等級ごとのポスト数を決める形にしたら、必要以上の昇進昇格は起こりません。一方、「人」を基準にしていたら、職能制でも職務制でもJOBグレードでも、等級ごとの「定員」などありません。査定を重ねれば等級内のノッチ(刻み)を上り、やがて次の等級へのリーチがかかってしまいます。これが年功昇給の根源です。

仕事のできない人でも、時間をかければ等級内の上限まで上り、そこまでくると「昇格審査対象」となる。そこに3年、4年と滞留したら、「仕方ない。上げてやろう」という温情昇級が起きる。この仕組みにメスを入れないと。でも、欧米のように組織設計から入ってポスト毎に定員を定める仕組みは日本にはなじまないでしょう。

そこで私が提案したいのは、日本型のままだけど、査定による積み上げをなくすことを謳いたいんです。各査定毎に良ければ上に、普通なら真ん中、悪ければ下と、洗い替えをする。

こうすれば、業績が悪い人はいつも下位に留まり昇級審査対象とはなりません。

【図表1】等級制度は何でも良いから、洗い替え型にする
※図表作成=海老原氏