睡眠についてはまだ謎が多い

寝ているときは免疫に大事な役目を果たす白血球の中のリンパ球の活動が活発化されるので、睡眠が十分に足りていると感染症になりにくくなります。逆にいうと睡眠不足だとリンパ球の活動が低下するので、免疫力が落ちて、風邪などの感染症にかかりやすくなります。

さらに記憶の定着や整理も睡眠中におこなわれます。睡眠不足が続くと頭がボーっとするのはそのせいかもしれません。

実は睡眠に関することは、まだまだ解明されていません。専門の先生方に聞いても明確な回答が得られないことが多々あります。

「睡眠が深ければ短時間睡眠でも疲れはとれる」とか、あるいは逆に「眠りが浅いと長時間寝ても疲労は回復しない」というような説を聞いたことはないでしょうか。このような説についても、実は科学的な証明はされていないのです。深く眠ることによって体力が回復するのは間違いないけれども、どのくらい深い睡眠を、どのくらいの時間とればいいかはまだ判明していません。

現時点で明らかにわかっているのは、睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠の2種類があること。そしてレム睡眠の間は首から下の体が動かない状態になっていて、脳は夢を見ていること。ノンレム睡眠には浅睡眠から深睡眠へと、眠りのステージが3段階あることなどです。これらは脳波で観測できるので、間違いない事実です。今後研究が進んだとしても、おそらく覆されることはないでしょう。

電車で寝ていて横の人に寄りかかるわけ

ここからは睡眠について現段階でわかっていることを詳しく説明していきましょう。

睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠の2種類があることはよく知られています。

レム睡眠のREMとは、rapid eye movementの頭文字をとったもので、「急速な目の動き」という意味です。レム睡眠のときは、眠っていても閉じたまぶたの上から目の玉がぐるぐる動く様子が観察できます。このように目が動いているとき、脳は夢を見ているといわれます。

一方、ノンレム睡眠はレム睡眠ではない状態です。

ノンレム睡眠には3段階があり(4段階説もあります)、ノンレムの頭文字のNをとって、いちばん浅いノンレム睡眠をN1、真ん中はN2、そしていちばん深い3段階目の眠りをN3といいます。

人間は一晩に何回かレム睡眠とノンレム睡眠を繰り返すのですが、そこには一定のパターンがあります。

まず入眠するとノンレム睡眠のN1に入ります。そしてN2、N3と深い眠りに移っていく。そして来た道を戻るようにN2、N1に戻り、次にレム睡眠に入ります。