タンパク質を切り刻んでアミノ酸に変える
例えば、その麹を米と混ぜると、麹の中に存在するアミラーゼが米のデンプンと反応して、デンプンを切り刻み、糖に変えます。
このデンプンが切り刻まれて糖に変わった甘い液体が、甘酒です。
また、この糖は、お酒の発酵においてはアルコールのもとになります。
同様に、大豆と麹を混ぜると、麹の中のプロテアーゼが大豆のタンパク質と反応してタンパク質を切り刻みアミノ酸をつくろうとします。その結果、うま味のある味噌や醤油になっていきます。
塩麹で肉が柔らかく、うま味が増すのも同じ原理です。麹に肉を漬けておくと、麹の中のプロテアーゼが肉のタンパク質を切り刻んでアミノ酸に変えるため、肉は柔らかく、また、うま味が増すことになります。
「酵素が生きて体内に入る」は間違い
酵素について、今一度、詳しくまとめておきましょう。
・酵素はタンパク質でできた物質
・酵素は生き物が自分でつくり出すことができ、様々な反応を促進する役割がある
・酵素はたくさんの種類がある
・酵素は1つの反応に対して1つが専用に働く
・酵素は特定の環境でないと働くことができない
・発酵の過程で物質が変化するのは、酵素が働いているから
酵素はタンパク質でできた物質であり、生き物ではありません。
比喩的な表現として「酵素が働く」「酵素が生きて体内に入る」「酵素が死ぬ」といった表現をしたりすることがあるため、酵素を生き物だと考えている人が多くいらっしゃいますが、酵素はあくまで物質です。
また、食べ物の中にある酵素が人間の体内で働くことは、(ごく一部の酵素を除き)基本的にはありません。
酵素は肉や魚と同じタンパク質でできているので、ほぼすべての酵素は胃で消化されます。