といっても、現状を維持していればそれでいい、という意味ではない。

円谷プロはウルトラマンのおかげで知名度が抜群に高い。そのため従来は「キャラクターを使わせてほしい」「こんな番組を作ってくれないか」と、持ちかけられた話に応じる形で仕事をすることが多かった。つまりは受け身であり、お行儀がいいというか、知名度にあぐらをかいている面があった。

そのうえさらに、親会社の意向を忖度するあまり「上の決定を待ってから動けばいいや」という消極主義が根付いてしまったら大変である。そういう心は、間違いなく製作する作品にも悪い影響を与えるからだ。

そこで私は「受け身の姿勢では生き残れない。最終責任は僕が持つから、もっと攻撃的に、提案型の仕事をやってほしい」と注文を付けたのだ。

親会社の異動はチャンスでもある。現にフィールズは遊技機ビジネスを通じて、これまで縁の薄かった「大人の世界」への橋渡しをしてくれた。他方、もう一つの大株主バンダイとは従来どおりファミリー層を意識したビジネスを展開中だ。つまり当社は伝統的な路線を強化しつつ、新しい可能性を追求できる恵まれたポジションを手に入れたのだ。これはすばらしいことである。

そもそも私たちはエンターテインメントの作り手だ。私たち自身が楽しんでいなければよい作品はできない。ある意味で、それは考え方しだい。だから私は、ことあるごとに「おもしろがって仕事をしよう」「もっとワクワク、ドキドキしよう」と、みんなの尻を叩いている。そのせいか、社員たちは一時期に比べて元気になったし、おもしろい会社になってきたと思うのだ。

年末には新作映画『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦! ベリアル銀河帝国』が公開される(※雑誌掲載当時)。主人公のウルトラマンゼロは「ウルトラセブンの息子」という設定で、これまでのシリーズに比べ、やんちゃでワイルドなキャラクターが特徴だ。ちょっと強引かもしれないが(笑)、社員たちには、お行儀のよさはほどほどにして、ゼロを見習い、さらに積極的に、野性的に羽ばたいてほしいと願っている。

※すべて雑誌掲載当時

(構成=久保田正志 撮影=ミヤジシンゴ)
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