食事の時間が10分以内の人はオーラルフレイルに注意

歯周病のチェックはいかがでしたか? 歯周病は成人が歯を失う最大の原因なので、とくに自覚症状がなくても、歯医者に何年も行ってない人は調べておいたほうがよいと思います。

次に、オーラルフレイルのチェックもしてみましょう(図表2)。こちらもチェック項目は5つ。

1つでも当てはまるものがあれば、オーラルフレイルもしくはその予備軍(プレ・オーラルフレイル)が疑われます。そして当てはまる項目が多いほど、オーラルフレイルが進んでいる可能性があります。

①の「食事の時間が短い、10分以内は普通」に当てはまる人は、よく噛まずに食べているのかもしれません。

噛まずに食べられるということは、やわらかい食べもの、もっと具体的にいえば、炭水化物が中心の食事になっている可能性があります。

また、本書の第1章で述べたように、噛まずに食べると栄養素の吸収も悪くなるので、食事時間が短い人は要注意です。

②の「口の中がよく乾く、水をよく飲む」にチェックが入った人は、唾液分泌が悪くなっている可能性があります。

食べ物の味の物質は、唾液を介して舌にとどくので、唾液が出ないと食事がおいしく感じられません。食事がおいしくないと、食べたいという意欲も失われるので、低栄養になって、全身のフレイルが進む可能性もあります。

また朝起きたときに口が乾いている人は、口を開けて寝ている可能性があります。眠っているときの呼吸が、鼻呼吸ではなく、口呼吸になっているのかもしれません。

もしも、朝起きたとき口が乾いている人で、家族にいびきを指摘されているなら、睡眠時無呼吸症候群(後述します)の疑いがあります。

オーラルフレイルの進行は口腔機能の低下につながる

③の「食事中、むせたり、せきこむことが多い」に当てはまる人は、本書の第2章で述べたように飲み込む力(嚥下えんげ力)が落ちている可能性があります。以前よりも、むせる回数が増えたという人はオーラルフレイルが進んでいるかもしれません。

④の「滑舌が悪くなった、発音しにくい言葉がある」にチェックした人は、舌の動きが悪くなっている、あるいは舌の筋力の低下が疑われます。

舌は噛んだ食べものを唾液と混ぜ合わせて食塊をつくり、飲み込みやすくする働きがあるので、舌の動きが悪くなると食べる力も低下します。

⑤の「頬のたるみが気になってきた」に当てはまる人は、表情筋などの口まわりの筋肉が衰えている可能性があります。これらの筋肉の衰えは、口腔機能の低下にもつながります。

また、美容の観点からみてもよくないですね。とくにコロナ禍のマスク生活で、頬がたるんできた人が多いのではないかと思います。