お金は稼ぐことよりも使う方が難しい

しかし、お金を稼いだら次は「使う」という行為が待っています。これがけっこう難しい。

あなたのもとに集まってきたお金は、人々の涙を吸ってやってきています。あなたがその場所で働かなければ、別の人が働き稼ぐことになっていたからです。大企業の営業マンが月末に300万円の仕事をひとつ取ってきたとしましょう。

宍野史和『運をつかむ心のほぐし方』(プレジデント社)
宍野史和『運をつかむ心のほぐし方』(プレジデント社)

その会社にとっては小さな仕事であるかもしれないけども、夫と妻とひとりの従業員でやっている零細企業にとっては、その仕事がひとつ入れば不渡りを出さずに済んだかもしれない。たったひとりの従業員を解雇せずに済んだかもしれない。会社をたたまずに済んだかもしれない。

大企業の営業マンは自分が取った仕事の裏でそんなことが起きているなんて、知る由もありません。きっと、世の中にはそんな話はあふれるくらいにあるでしょう。

では、人の涙を吸って集まってきたお金を手にした者は、どういった立ち居振る舞いをすればいいのでしょうか。それは、誰かが泣いて財布に入ってきたお金を、今度は笑って出してあげればいいのです。

お金に意志はありません。しかし、使う人の意志がお金に宿るのです。

まるで足が生えているかのように行ったり来たりすることから、お金を「お足」と呼ぶことがあります。お金には足が付いているのです。

自分の財布から出ていくお金に感謝の気持ちを宿すことができれば、その足でそのうちあなたのもとに戻ってくることでしょう。

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