青学大から五輪、世界選手権など代表選手は0人

城西大は直近10年間で箱根駅伝は7度の出場ながら、村山紘太(現・GMOインターネット)が2015年に10000mで27分29秒69の日本記録(当時)を樹立した。近年は櫛部静二監督が本格的な低酸素トレーニングを導入。実業団時代に母校で低酸素トレーニングを積んだ山口浩勢(現・加藤学園高陸上部副顧問)が3000m障害で東京五輪とブダペスト世界選手権に出場した。

酒井政人『箱根駅伝は誰のものか 「国民的行事」の現在地』(平凡社新書)
酒井政人『箱根駅伝は誰のものか 「国民的行事」の現在地』(平凡社新書)

直近10年間で4度のシード権を獲得している法大は坂東悠汰(現・富士通)が東京五輪5000mに出場。箱根5区で活躍した青木涼真(現・Honda)が3000m障害で東京五輪、オレゴン世界選手権、ブダペスト世界選手権、杭州アジア大会と連続して国際大会に参戦している。

一方で直近10年間の箱根駅伝でインパクトのある活躍をしている青学大はいまだに五輪、世界選手権、アジア大会の代表選手を輩出していない。また日本人学生で過去27人が到達している10000m27分台にも届いていない。

青学大の10000m記録は28分10秒50(近藤幸太郎)。この記録は日本人学生歴代50傑にも入っていないのだ。世間からは名将と呼ばれる原晋監督だが、「世界で戦う」という意味ではまだ不足しているものがあるようだ。青学大に対してはSNS上では、高い評価がある一方で「箱根駅伝で勝てばそれで満足なのか?」といった厳しい声もある。

青山学院大学
写真=iStock.com/mizoula
※写真はイメージです

これらの事実を知ると、箱根駅伝を観る目が変わるかもしれない。

個人的には「箱根から世界へ」を実現している大学はもっと評価されるべきだと感じている。第100回大会を走る選手から、多くの選手が世界に羽ばたくことを期待したい。

※次ページは直近10年間の箱根駅伝と全日本大学駅伝の成績と、国際大会の代表選手の一覧(箱根駅伝の第90回大会以降に出場した選手のみ)。