一つは、人通りの少ない場所のゴミ箱ほど、空き缶がたんまり入っているということだ。そもそも、人通りの多い場所にあるゴミ箱には鍵が付いていたり、結束バンドで縛られていたりして蓋が開かないようにしてある。そして、人通りの多い場所のゴミ箱は、捨てられる量が多い分、おそらく業者の回収の周期が短い。仮に蓋を開けられたとしても中身がほとんど空であることが多かった。

逆に狙い目なのは人通りの少ない場所にあるゴミ箱である。こちらは業者の回収の周期が長く、溢れかえっているゴミ箱まであった。そんなゴミ箱が手付かずのまま放置されているあたり、ライバルはそこまで多くないような気がした。

時給120円の仕事

二つ目は、自動販売機には管理している業者の社名が書かれたシールが貼ってあり、会社によっても回収の周期が違うということだ。ゴミ箱から空き缶があふれ返っている自動販売機の管理会社名を覚えて探してみると、そのシールが貼ってある自動販売機のゴミ箱にはもれなく空き缶が多く残っていた。

これらのようなことを空き缶拾い歴の長いホームレスたちは、経験則的に身体に染みつけているのだ。

そんなことを考えながら、3時間ほどチマチマと空き缶を拾い、翌朝八広駅の近くにある業者に売りに行くと、計2キロで360円になった。時給に換算すると120円だが、一心不乱に拾い続ければ結果はかなり変わりそうだ。