上司の上司に相談するには

最終手段が、上司の上司に相談することです。非があっても反省して改めようとせず、部下に責任を押し付けていることを示す、具体的な事例を集め、できるだけ感情的にならずに伝えるようにします。

この時も、自分1人ではなく複数の仲間と訴えること、記録に残しておいた証拠を用意しておくこと、上司を責め立てるのではなく、「私たちも上司をサポートしようと頑張っているが、どうにもうまくいかず困っている」という姿勢で伝えるなどの、工夫が必要です。

自分の非を認めない上司は、部下の手柄を自分の手柄のように見せていたり、ミスを部下のせいにしたりして、上役に評価されてきた可能性があります。また、無理な仕事を取ってきて、部下に押し付けながら実績を上げてきたことも考えられます。会社にとっては、実態がどうであれ、「仕事をたくさん取ってくる有能な社員」に見えている可能性があるのです。それを覆すためには、証拠を示すとともに、どれだけ複数の部下が困っているかを伝える必要があるでしょう。

自分の非を認められないと、自分のやり方を改善したり、成長したりすることができません。また、自分の非を部下のせいにするというのは、パワハラにもつながりますし、上司としての資質に欠けているといえます。ですから本来は、会社としてこうした人物を上司となる地位につけるのは、組織としてマイナスになるはず。なかなか簡単なことではないかもしれませんが、そういったことを理解してくれる人を探して、訴えることを考えてほしいと思います。

構成=池田純子

井上 智介(いのうえ・ともすけ)
産業医・精神科医

産業医・精神科医・健診医として活動中。産業医としては毎月30社以上を訪問し、精神科医としては外来でうつ病をはじめとする精神疾患の治療にあたっている。ブログやTwitterでも積極的に情報発信している。「プレジデントオンライン」で連載中。