免疫機能の中心を担う白血球
少々専門的になりますが、もう少し詳しく説明しましょう。
免疫機能の中心を担っているのは、血液中の「白血球」です。白血球はいくつかの「免疫細胞」で構成されますが、それは次の3つに大別されます。
1つが病原菌など比較的大きめの異物を処理する「顆粒球」、もうひとつがウイルスなどの小さな異物を処理する「リンパ球」、そして感染に対する防御の開始に重要な役割を果たす「単球」です。
近年の研究で、交感神経が優位になると顆粒球が増え、副交感神経が優位になるとリンパ球が増えることがわかってきました。
交感神経が働くと顆粒球が増えて病原菌に対する免疫力は高まりますが、過剰に優位な状態が続くと、体内に異物(病原菌)がいないときでも顆粒球が過剰反応して、健康維持に必要な「常在菌」を殺してしまうことがあります。
顆粒球は、自らが持つ「分解酵素」と「活性酸素」によって異物を処理します。ところが、増えすぎた顆粒球が体内に余ってしまうと、細胞としての寿命を終えたときに、持っている活性酸素を体内にばらまいて、健康な細胞を傷つけてしまうのです。
日々のリカバリーが大切
一方、副交感神経が働くと、リンパ球が増えてウイルスに対する免疫力が高まります。しかし、過剰に優位になってリンパ球が増えすぎれば、異物(抗原)に敏感になりすぎて、アレルギーを起こしやすくなります。
つまり、免疫力は高ければ高いほどいいというわけではなく、高すぎることにも弊害があるのです。
交感神経と副交感神経のバランスが整うことによって、顆粒球とリンパ球がともに増え、免疫細胞のバランスがよくなることで、免疫機能が適度に効果的に働くというわけです。
もちろん、自律神経の乱れがすぐに免疫力の低下に反映されるわけではありません。一時的に交感神経優位の状態になったとしても、顆粒球がすぐに増えるわけではないのです。交感神経優位の状態が続くことを放置せずに、日々リカバリーをすることが大切です。