高齢ホワイトカラーの就職口は激減する
ただし、ここで一つ、大きな壁が立ちはだかります。それは「70歳を過ぎた人を雇用してくれる会社は、ホワイトカラーの仕事では非常に少ないだろう」という大問題です。
「定年退職してしばらくは悠々自適な生活を送っていたけれど、そろそろ飽きてきたから、再就職口でも探すか」と、求人情報をくまなく探しても、就きたい職が見つからない。どこの職場も年齢制限を設けており、65歳過ぎて見つかるのはビルの清掃やマンションの管理人といったものだけ……という話も聞きます。
もちろんどれも大切な仕事です。会社員を退職した後、マンションの管理人として第二の仕事を持ち、「若い世代や子どもたちと接する毎日が楽しいよ」と顔をほころばせる人もいます。けれど、「俺は部長まで勤めあげたんだ。定年退職後もオフィスワーカーとして、培ったスキルを活かしたい!」という場合は、どうすればいいのでしょうか。
「45歳定年」の時代を味方につける方法
2021年9月、メディアやSNSに、「45歳定年説」という衝撃的なワードが流れました。ことの発端は当時のサントリーホールディングスの新浪剛史社長が、経済同友会のセミナーで、「日本が三流国に落ちる前に、45歳定年制の導入を!」と発言したものでした。
この言葉が「社員は45歳で辞めろ!」という意味に捉えられ、SNS上でも悲鳴と怒号が飛び交いました。「一生懸命会社に尽くしてきた人間を、あっさり切り捨てるのか!」「経営者のエゴ丸出しだ!」あまりの社会的反響の大きさに、新浪社長も後日トーンダウンし、「定年や首切りをするということではない」と釈明に追い込まれました。
しかしこの言葉は、非常に誠実、かつ真っ当に、日本の雇用状態の現実を表した言葉だと私自身は感じました。そして、「いよいよ本音が出たな」とも。実際に、私が大企業の経営者や人事部の方にお話をうかがうと、「45~50歳以上の社員は、辞めてもらっても構わない」と発言される方が、正直とても多いのです。
理由はシンプル。その年齢になると、もはや出世争いは終わっており、出世の階段を昇っていく以外の残された大半の人は、もはや会社にとって“要らない人”あるいは“コスパが悪い人”になっているからです。