ビジュアル面での注目はアスリートを苦しめる

トリンドル玲奈、藤田ニコル、池田エライザ、滝沢カレン……。近年はミックスルーツの女性タレントが人気を集めている。ドルーリーもこのカテゴリーで脚光を浴びた部分が大きい。

もともとアスリートは競技力だけでなく、ビジュアル面を含めたタレント性も人気のバロメーターになる。例えば、ビーチバレーの浅尾美和、新体操の畠山愛理らは実力だけでなく、容姿で注目された。その絶大な人気は、競技の普及・認知度アップに大きく貢献した。

海辺の橋の上を走るフィットネスウーマンランナー
写真=iStock.com/lzf
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ただし、今回はドルーリー=中学生という大前提を忘れてはいけない。自分の努力が評価された結果、メディアでとりあげられればうれしいと感じるはずだが、競技とはまったく関係ない部分がクローズアップされるのは迷惑でしかないだろう。

筆者の知人で以前、「美女ランナー」と騒がれた元選手は「なぜここまで注目されるのかわからない」と複雑な心境を語った。本人としては実力以上にチヤホヤされるのはかえって迷惑で、競技に集中できなくなったという。

近年は、有名人であってもその容姿を第三者がイジることがタブーになりつつあるが、同時に褒めるのも控えるべきだという声がある。

誰もがスマホを持つ時代、気軽な気持ちでSNSへ画像や動画を投稿する人は多い。全国大会で活躍した女子中学生ランナーは注目を浴びたことで、多くのファンから“狙われる存在”になったのだ。自分の知らないところで、自分の画像が出回り、大人から容姿についてあれこれ言及されるのはいい気分はしないはずで、恐怖を感じてもおかしくない。

メディアは、あくまで記録に基づき本当に価値のあるパフォーマンスをしっかり評価するという役割を果たさなければならない。さもなければ、ドル―リーのような前途有望な若い選手をつぶしてしまうことになりかねない。