勉強や努力をせずにお金を減らしてしまう人が後を絶たない

投資とは「大事なお金が減るリスクの代償として、増えるチャンスも得る」という行為です。これを、そもそもの大前提として覚えておきましょう。

特に多いのが、定年退職して収入が激減し、将来が心配なので大事な退職金を増やさなければならない、だから投資しよう、という人です。もちろん将来が不安だから、仕事をやめる前から投資をしようという人もいるでしょう。

そのとき、金融機関のアドバイスにそのまま従って投資してしまう人や、きちんと勉強せずに金融商品をネットなどで買ってしまう人もいます。

これだって、プライシングを考えると、なけなしの退職金を減らすなど絶対に許容できないはずです。しかし、ちゃんと勉強も努力もせずに、すすめられるままに投資をし、大切な大切なお金を大きく減らしてしまうという例がなくなりません。私もよく相談を受けますが、本当に残念なことです。

「お金の知識」なしに生きるのは無謀すぎる

ここまでは株式投資という卑近な例です。

ほかにも、社会で生きていく上で重要なお金の知識はたくさんあります。

一生でいちばん高い買い物である不動産もそうですし、会社でどうやって働くのか、どういった政党に投票すべきか、年金、保険なども基本的にはお金のしくみを理解することにつながっています。

正しいお金の知識を身につけずに社会で生きていくことは、素手で戦争に行くようなものです。戦術も考えずにそんなことをすれば、負けて殺されるに違いありません。

しかし、お金や金融知識は、学校や家庭ではきちんと習わないし、日本ではその習慣もないので、不十分なまま、社会に出ていく人が非常にたくさんいます。

そして悪いことに、そういう人達は真面目で、いい人達だったりするのです。ただお金のことを知らないばかりに、大切なお金を減らしてしまう、そんなパターンを私はよく見てきました。

世の中には「儲かる株の選び方」や「FX必勝法」などのコンテンツがあふれていて、それらには「何を買ったらいいか」「何をしたらいいか」はあっても、「そもそもなんでそれを買うべきか」「私はそれに対してどういう意見を持つべきか」まで深く理解できるものは少ないように思います。

冒頭でも述べた何より大事な「あなたがどうプライシングするか」まで深く踏み込めるものは少ないのです。

しかし、本質的なことを理解しておくことは、正しい投資をする上でとても重要です。