そこで、また問題を分けて考えてみることにしました。

まず、「そもそも今売上をどう作っているか」を考えると、40社ほどのクライアントのデジタルマーケティングの担当の方PR担当の方を相手それぞれに平均で1カ月100万円の広告費を売り上げており、それでこれが1年で約5億円という状態でした。

式にすると、次のようになります。

100万円×40社×12カ月

このままの方法で100億円売り上げるには、100万円を1万1000件を受注しなくてはなりません。社員は増えたものの、当時受注率が5%くらいでしたので20回の提案で1回受注できるとしても、20万回提案しなくてはなりません。それは現実的に無理となるためここは数でなく、単価を上げる必要があると考えられます。

「お客さんを分けて」考えてみると…

100万円以上の取引をしている人。そんなに高い値段で仕事をしている人はどんな職業かと考えた時に、コンサルタントがありました。これをまねて1000万円と1億円の広告商品をつくり、実際に取り組んでみましたが、どちらもさっぱり売れません。

ただ、売れないとはわかったものの、もはや値段を下げるという策をとるわけにはいきません。値上げしか逃げ道がないので、「いっそ10億円でやってみたらどうなるだろう」と考えました。

1000万円の広告と1億円の広告が難しいとき、少し増やして2000万円や2億円にしてみる方法もあると思いますが、先ほど説明したように、売りに行く先が変わらなければ、結果は同じです。

そこで思い切って、さらにその上の経営者に提案してみようと考えたのです。要は「お客さんを分けて」考えてみたのです。

ビジネスウーマンのコンセプトイメージは、木製の人を2つのグループに分ける
写真=iStock.com/Farknot_Architect
※写真はイメージです

「お宅の会社はデジタル広告をちゃんとやっていますか?」
「代理店に丸投げすると、自社にデータが溜まっていかないし、ノウハウも手にできないですよね? データを社内で持つためには、デジタルの発注は一元化しないと駄目なんです」

宣伝部長やCMOはこういう提案を求めていなかったのですが、実際に提案してみると経営者には刺さることがわかりました。結果的に、100万円の案件のときは5%の受注率だったのが、10億円の案件では受注率30%になり、売上100億円の目標を無事達成できたのです。