参加者によるディスカッションも

続いて行われたのは、木下編集長と参加者によるディスカッション。「20代の教育」をテーマに、牛窪さんの講演内容を踏まえて、自社で行っている施策や効果、今後の課題、その解決策などを皆で話し合いました。

金融業界のある担当者は「当社では、以前から女性向けの研修を続けてきて一定の効果が出たため、今は男女両方向けに切り替えていっている」と紹介。これから研修を始める予定だという担当者からは、研修の内容や効果、なぜ男女両方を対象にするのかといった質問が相次ぎました。

これをきっかけに議論が活発化し、「女性だけを対象に研修を行うと反発の声が上がりやすい」、「でも現実的に昇進に男女差があるのだからやり通したい」などの声が。中には、女性管理職比率がまだ低いのに「社内に女性支援はもう終わったというムードが漂っている」と悩む担当者もいました。

「女性活躍を推進して一定の効果を得たという企業でも、部長以上には女性がいないというケースは多いですよね。現実的にはまだ全然終わっていないのに、女性課長が一定数増えたからもういいだろうと。世にある商品やサービスには女性向けのものも多いのに、意思決定層に女性を増やさないままでいるのは本当にもったいないと思います」(木下)

そのほかにも、経営層の説得方法やライフイベント前の研修の意義、出産・育児からの復帰支援、時短勤務制度の功罪など、多くの議題が出て議論は白熱。業界は違えど全員が人事・ダイバーシティ担当者ということで、共感し合える点や学び合える点も多かったようです。

人事・ダイバーシティの会 第2回研究会の様子
撮影=小林久井(近藤スタジオ)

最後に、木下編集長が「人事・ダイバーシティの会では、引き続き次世代人材育成をテーマにした研究会を開催していきます」と語り、第2回研究会は閉会しました。今後も研修の提案やセミナーを通して、企業が抱えるさまざまな課題の解決を図っていく予定です。

構成=辻村洋子

牛窪 恵(うしくぼ・めぐみ)
マーケティングライター、世代・トレンド評論家、インフィニティ代表

立教大学大学院(MBA)客員教授。同志社大学・ビッグデータ解析研究会メンバー。内閣府・経済財政諮問会議 政策コメンテーター。著書に『男が知らない「おひとりさま」マーケット』『独身王子に聞け!』(ともに日本経済新聞出版社)、『草食系男子「お嬢マン」が日本を変える』(講談社)、『恋愛しない若者たち』(ディスカヴァー21)ほか多数。これらを機に数々の流行語を広める。NHK総合『サタデーウオッチ9』ほか、テレビ番組のコメンテーターとしても活躍中。