若者には「3つのC」でアプローチを

こうした特徴を持つゆとり世代やZ世代に対し、上司や人事担当者はどうアプローチすべきなのでしょうか。牛窪さんは、彼らのモチベーションを上げるうえで次の「3つのC」を感じさせることが重要だといいます。

(1)Charge:早め早めのアップデートによる成長実感
(2)Care:他者が支援してくれるという安心感
(3)Co-creation:仲間や地元、家族と共に社会をよくする共創実感

「今の20代は、日本だけでなく先進国各国で、自分に自信がない世代だと言われます。つねに『このままでいいのか』との不安があるだけに、継続へのモチベーションが必要。その源となるのが3つのCです。ただ、大前提として企業や社会に、彼らが好む『ゆるいつながり』と『楽しさ』を感じられる環境が不可欠。そのうえで、3つのCを重視したアプローチをとってみてください」

各キーワードを実践するための具体例についても話がありました。たとえば、「Charge」ではスキルマップなどを活用して成長を数値で示す、「Care」では社内メンターや1on1などで支援体制を見える化する、「Co-creation」では積極的に現場に行かせて、誰かの役に立つ喜びを体感させてあげる──。牛窪さんは「こうした三方向からのアプローチを継続し循環させることが大事」と語り、参加者にこう呼びかけました。

「今はビジネスも競争から共創の時代に変わりつつあり、社会における自社の存在意義を軸にした『パーパス経営』も注目されています。20代の目線に立った彼らとの共創こそが、新時代のパーパス経営を創り出します。どう共創していくか、ぜひ皆さんでアイデアを出し合っていただけたらと思います」

講演後には質疑応答が行われ、牛窪さんと『プレジデント ウーマン』の木下明子編集長が、参加者の質問に一つひとつ回答していきました。20代の社員に対してどんな研修を行うべきか、研修への参加を促すにはどうすればよいかなど実践的な内容も多く、参加者はそれぞれ自社の施策に生かせるヒントを得たようでした。

プレジデント ウーマンの木下明子編集長
撮影=小林久井(近藤スタジオ)
『プレジデント ウーマン』の木下明子編集長