年利20%で貯蓄するのと同じ効果

iDeCoの税制優遇は運用益非課税ということもありますが、それ以上に大きいのは掛金が全額所得控除になることです。したがって、仮に所得税の税率が10%、住民税の税率が10%だとすると合計掛金の20%が年末調整とか確定申告で戻ってきます。これは非常に大きなメリットです。

iDeCoは投資のための制度というだけではありません。投資がよくわからないとか不安だというのであれば、定期預金で運用しても良いのです。現在では定期預金の金利はほぼゼロに近いものの、所得控除で掛金の20%が戻ってくるのであれば、年利20%で貯蓄しているのと同じことになります。これも制度が年金だからこその優遇策で、この所得控除はNISAにはありません。

NISA口座開設説明書
写真=iStock.com/Yusuke Ide
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NISAは投資利益に対する税制優遇制度

したがって、iDeCoは必ずしも投資のための制度というわけではなく、あくまでも老後資金を作るための制度であるのに対して、NISAは全く目的が違います。NISAの正式名称が「少額投資非課税制度」ということからもわかるように、これは投資した結果得られた利益に対する税制優遇の制度ですから、iDeCoとは異なり、投資をしなければ適用されません。

投資の目的はさまざまで、もちろん老後資金作りのためでもあるでしょうが、それだけではなく人によって色んな目的があると思います。ただ、前回もお話しましたが、NISAという制度を作った大きな目的は中間所得層の資産形成を支援することにあります。だからこそ資産所得倍増プランにおいて、最も注力されたのがNISAの恒久化であり制度の大幅拡充であったわけです。

iDeCoと違ってNISAでは預金を利用することはできません。あくまでも投資信託や株式のみが対象となります(つみたてNISAでは株式は利用できません)。したがって、ある程度の知識を持っておく必要はあります。とにかくお得だから始めようとばかりに何も勉強せずに積立投資を始めるというのはあまり感心しません。最低限の知識は身に付けた上で始めるべきだと思います。