家族に不満があるとき、どのように伝えればいいか。メンタルアップマネージャの大野萌子さんは「相手の発言や行動に不満を感じたときには、いったん、相手の気持ちや行動を受け止めてから、自分の気持ちを伝えるといい。もともとわかり合えていないという前提に立つことが大切だ」という――。
※本稿は、大野萌子『好かれる人の神対応 嫌われる人の塩対応』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。
家族関係を良好に保つコミュニケーションの3原則
家族とのコミュニケーションにおいては、「言葉にせずとも“察して”は暴力」というスローガンを、まず心に留めてください。
どんなに長く連れ添ったパートナーや身内も“心を読めるエスパー”ではありません。あなたの胸中を推察し、その通りに動いてくれるわけではないのです。
ですから相手を過信せず、自分の気持ちはできるだけ具体的に言語化して、真摯に伝えることをおすすめします。それを億劫がったり、遠慮をしたりするほうが、あとで争いの火種になりかねません。「相手を気遣い、黙っていること」は決して“美徳”ではないのです。
家庭生活には「お互いを理解し、歩み寄りながら維持させること」が欠かせません。ですから、互いにずっと快適に過ごすため、次の3原則に気をつけてみてください。
①すり合わせられるところは、すり合わせること
②改善できるところは、改善すること
③「相手を尊重すべき部分」には、互いに立ち入らないこと
②改善できるところは、改善すること
③「相手を尊重すべき部分」には、互いに立ち入らないこと
特に①「すり合わせ」と②「改善」のためには、会話のキャッチボールを丁寧に重ねることが有効です。相手の言葉に疑問を感じたとき、脊髄反射のように、「なぜ」と即座に疑問形で切り返すのはちょっと待って。いったん「そうなんだね」「あなたはこう思っているんだね」と発言をしっかり受け止めてから「それはなぜ?」と返すようにしてみましょう。
たったひと言、ワンクッション挟むだけで、「あなたを受け止めましたよ」という態度を表すことになり、その後の展開がスムーズになります。人の心とは面白いもので「自分の気持ちを受け止めてもらえた」だけで、満足したり、スッキリしたりするものなのです。
逆説的に言えば、「私たちは、もともとわかり合えてはいない」という認識から一歩ずつ会話を進め、心の距離を縮めていくことが、相互理解への近道です