たとえば意外に見落とされているのが、離れて住む老親の扶養控除。たとえ年金生活をしていたとしても、子供夫婦が生活費の半分以上を仕送りしているような場合には、同居していなくても扶養家族に入れられる可能性が高い。
もし扶養が認められれば、課税所得が親1人当たり年額48万円も控除される。所得税・住民税が減るのはもちろん、子ども手当の所得制限に該当する世帯では制限をクリアできる可能性も出てくる。
実家の親にゆとりがあるなら、生前贈与を活用したいところだ。孫も含めた家族1人当たり、年110万円まで無税。
「たとえば年130万円贈与するとしても、かかる税金は2万円ですみます」(中村氏)
わが子にもらった分を教育貯蓄として貯めておけば、進学費用の心強いベースになるはずだ。
もちろん、家計そのもののリストラも必要になるだろう。住居費、食費、教育費など、額の大きい出費をどこまで削れるかがポイントだ。
「これからは自分がいま持っているイメージより、一回り小さい支出を考えるべきです」と言うのは、子育て・教育資金アドバイザーでファイナンシャルプランナーの豊田眞弓氏だ。
「今の生活の満足度にこだわるのは禁物です。教育費についても『自分たちが親にしてもらったほどに手厚くはできない』と考えたほうがいいでしょう」(豊田氏)
たとえば、夫婦共働きで年収1500万を超えるような層でも、わが子を秋入学の大学に入れてギャップイヤーには海外体験をさせ、在学中にも留学させてMBAを取らせよう、といった理想を追求すれば、老後資金が数千万単位で不足することもあると豊田氏は言う。
「『中学校と高校は私立じゃなきゃダメ』とか、『これだけ収入があるのだから、家や車はこのぐらいのグレードでないと』といった決めつけをしないことです。大切なのは、最後に笑うこと。20~30年先を見るつもりで、意識して支出を引き締めてください」