迷走に迷走を続けた民主党政権の目玉政策、「子ども手当」。3月30日の参議院本会議で、改正児童手当法が成立し、2010年度にスタートした「子ども手当」の名前は、わずか2年で消えた。
「所得控除から手当へ」というかけ声のもとに、子育て支援策の一環として導入された子ども手当だが、財源不足と与野党対立の材料にされたことで、制度が二転三転してきた。
2009年の総選挙時に民主党が掲げたマニフェストでは、子供1人当たり月額2万6000円の支給がうたわれていたが、財源が足りずに半額の1万3000円からスタート。
結局はその後一度も支給額は上がらず、野党の反対で制度の存続が危うくなった11年10月からは、子供1人当たり月1万円(3歳以上中学生までの場合)に切り下げられた。子供2人の世帯なら、この時点で家計収入は年に7万2000円も目減りした計算になる。
新たに始まる児童手当の支給額は、昨年の切り下げ後の子ども手当と同じ。3歳未満の子に月額1万5000円、3歳から小学生の子に月1万円(3人目以降は1万5000円)、中学生には月1万円が支給される。
また、新たに所得制限が設けられ、子供2人世帯の場合、主な働き手の年収が960万円以上ある場合は支給の対象外となる(当面は移行措置として、子供1人当たり月額5000円を支給)。
一方で、子ども手当の支給を前提とした年少扶養控除の廃止は粛々と進んできた。中学生以下の子を持つ世帯では、2011年度から所得税、2012度からは住民税がアップ。多くの子持ちサラリーマンは、今年の6月分の給与から住民税の天引き額が、子供1人当たり月額2750円増える計算だ。
支給額は当初予定の半額以下、控除廃止は予定通りとなると、子育て世代にはむしろ増税にならないかと心配になる。