30代後半から40代の転職活動で厳しくチェックされるのが「退職理由」だ。キャリアカウンセラーの中谷充宏さんは「書類選考の成否を左右するのが『退職理由』。誰もが『やむを得ない』と認める事由であれば、できるだけ具体的に書いておくのがよい」という――。(第2回/全5回)

※本稿は、中谷充宏『30代後半~40代のための転職「書類」 受かる書き方』(秀和システム)の一部を再編集したものです。

履歴書と職務経歴書
写真=iStock.com/CreativeJP
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人間関係、リストラ…どう書くべきか

この世代の転職で必ず厳しくチェックされるのが、退職理由の妥当性、正当性です。

たとえば、十数年前に自分のわがままで自己都合退職したとしても、「若気の至り」で済まされることでしょう。しかし、直近数年間にわがままな辞め方をしていたり転職回数が多いのは悪印象です。

したがって、まず、わがままではない場合、単に「○○株式会社 退社」だけにせず、先回りしてその理由に触れておくことが大切です。

たとえば「同社倒産による会社都合退職」と書いておけば、不可抗力だと明確に伝わるので、倒産だからと隠さず、明瞭に堂々と書いた方がいいことになります。

逆に、人間関係が嫌になって退職した場合は、「一身上の都合による退職」とサラリと触れるにとどめておきましょう。

人間関係の悪さや給与の安さ、休みのなさなど、本音や事実をありのまま伝えるとマイナス評価や誤解につながると思われる場合は「一身上の都合による退職」でとどめます。

一方、勤務していた事業所や工場の廃止・撤退で代替勤務地が示されないような100%会社都合によるものや、部署ごと海外に全面移転が決定し海外赴任ができず自ら退社したといった、誰もが「やむを得ない」と認める事由であれば、できるだけ具体的に書いておくのが最善です。

なお、この世代特有の「リストラ対象となって退職を余儀なくされた」場合、「マイナス評価になるのでは?」と懸念する人が多いのですが、今や大手電機メーカーのような一部上場企業であっても何千人、何万人単位で大量リストラしている時代です。もはや日常茶飯事なので、採用人事も応募者固有の特殊事情とは見ない可能性が高いです。

「経営不振による人員削減策に応じたゆえの会社都合退職」と、粛々と書いておけば大丈夫です。

NG! これはダメ!
2003年4月 リプロック株式会社 入社
2013年3月 リプロック株式会社 退社

↑「退社」だけでは、なぜ辞めたのか、採用人事の一番知りたいところが見えない。

OK! 誰が見てもやむを得ない場合
2003年4月 リプロック株式会社 入社
2013年3月 同社倒産による会社都合退職

↑勤務先の倒産や事業所閉鎖といった本人ではどうしようもないレベルの話なので、きちんと書いておけば余計な疑念を持たれず、やむを得ないと認めてもらえる。

OK! 本音や事実をそのまま伝えると不利な場合
2003年4月 リプロック株式会社 入社
2013年3月 一身上の都合による退職

↑自己都合退職の場合、「上司の過度なパワハラにより~」のように具体的に書くと墓穴を掘るケースがある。サラリと書くにとどめるのがおすすめ。