30代後半から40代の人が転職活動をするときには、どんなところでつまづくことが多いのか。キャリアカウンセラーの中谷充宏さんは「『自分には売りがない』と思い込み、虚偽や誇張に走ってしまう人が多い。しかし、採用人事には全てお見通しなので、致命傷になってしまうケースが後を絶たない」という――。(第1回/全5回)

※本稿は、中谷充宏『30代後半~40代のための転職「書類」 受かる書き方』(秀和システム)の一部を再編集したものです。

履歴書をめくる手元
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「ありのままが良い」とは限らない

この年代となると、当然のごとくキャリアの積み方が皆バラバラです。就活生と違って、ネットや書籍で入手できる情報自体が、役に立たないケースが圧倒的に多いのです。

本人は必死ですが、転職の採用工程では通じない方法で一生懸命取り組んでいるケースを散見します。一例を挙げると「実力がある私だから、今さら転職ノウハウに溺れるなんて無用だ、素の自分を堂々と見せれば良い」という人です。

メンタル休職を例にとってみましょう。

ビジネスでは「本音」と「建前」が交錯している

2022年4月に心療内科の医師から「適応障害」と診断されましたが、当時の上司の「売れるまで帰ってくるな!」「そんな成績で恥ずかしくないのか!」といったパワハラが原因です。外出中にも頻繁に電話がかかってきて、営業活動の妨げになったこともあります(中略)その上司が着任する前は、ノルマをほぼ達成してきたのですが、心を折られてしまってからは、営業に身が入らなくなりました。

このように「事実を正直にありのままに」書いて素の自分を見せて、採用人事が高く評価するとお思いでしょうか? ビジネスの世界では本音と建前が交錯しているのは、この年代なら嫌というほど体感してきたことでしょう。転職も同じで、採用人事に伝えて良いこと、悪いことは存在します。

「売り」が伝えられているか

もちろん虚偽や誇張はダメで、事実に基づいて表現しなければなりません。

表現方法を工夫しないと、優秀な人でさえ選ばれないということです。

在籍期間と勤務先、業務概要だけの職務経歴書を提出したとしましょう。

2000年4月~現在 中谷商事株式会社
事業内容:専門商社 資本金:1,000万円 従業員:49人 未上場
業務内容:新卒入社から現在まで一貫して食材のルート営業に従事中

実は営業成績は上位入賞者レベルで、5年前に営業課長に昇進し5人の部下の育成も担っている優秀な人だとしても、この情報量では採用人事も判断しようがありません。