※編集部註:初出時、データの扱いに誤りがあったため、タイトルおよび本文を一部修正しました。(8月13日18時00分追記)
日本社会に広がる「孫疲れ」
長期休みといえば帰省、そんなイメージは、どこまで共有されているのだろうか。
孫の顔を見せるため、久々の家族団欒を楽しむため、といった、「実家」や「義実家」での和やかな光景を、どれだけの人が望んでいるのだろうか。
最近、「孫疲れ」ということばを聞くようになった。孫の世話で、体も心も疲れてしまう状態を指す。単に「疲れる」だけではない。お金の負担も増えている。
シニア女性向け雑誌「ハルメク」の読者を対象にした2025年の調査では、「1年間で孫のために使った金額」は平均で18万円と、その2年前に比べて3万7000円アップしている。
その反面、「直接会う」以外の、たとえば「電話で話す」などのコミュニケーションは減っており、「今後の孫とのコミュニケーション意向」については、「どちらでもない」が58.3%と「増やしたい」の40.9%を大きく上回っている。
もちろん、こうした調査は、いずれも限られた範囲を対象にしたものであり、「孫疲れ」の全体像を示すものではない。しかし、祖父母世代が孫とのかかわり方に複雑な思いを抱いている様子を推測させる結果とは言えるだろう。
経済面で“都合よく”使われる親
数字の面を見れば、たしかに納得できよう。悪い言い方をすれば、祖父母が孫を経済面で支える存在のように頼りにされている、そう見えてしまいかねないからである。
社会学者の松川尚子氏は、〈近居〉、すなわち、近くに住んでいる祖父母が孫の世話を引き受けている状況に着目している(松川尚子『〈近居〉の社会学 関西都市圏における親と子の居住実態』ミネルヴァ書房、2019年)。重要なのは、一緒に住む=同居ではなく、小一時間ほど離れた近くに住むほうを選ぶ子ども世代の多さである。
近畿圏を対象にした松川氏の調査によれば、高度経済成長期以降のニュータウンの増加に伴い、祖父母世代と子ども世代の居住地が近くなり、さらに、「実家との距離」を考慮する割合が増えている。
子どもと孫が、都市部から遠方の実家に帰省する。祖父母世代は、わざわざ遠いところから来た孫を歓待しなければならない。すると、身も心もお財布も「孫疲れ」する。たしかに、いまもなおそうした例が多数なのかもしれない。それでも、松川氏の調査にあるように、そうした伝統的な帰省とは異なる実態も増えてきているのではないか。
【Close-up:もう、帰省はいらない!】の関連記事はこちら
・遠すぎるお墓は「2万円でプロにお任せ」…ふるさと納税の返礼品で広がる「お墓参り代行」の中身