日本人が欧州で「特別室」に通される意味とは。英国式マナーを教えている佐藤よし子氏は「その待遇には理由がある。マナーに厳格な欧州で日本人のふるまいがどう映っているのか、知っておくとよい」という――。

※本稿は、佐藤よし子『本当は怖いアフタヌーンティー 英国階級社会の真実』(幻冬舎新書)の一部を再編集したものです。

オテル・リッツ・パリ
オテル・リッツ・パリ(写真=Arthur Weidmann/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons)

英国での「特別扱い」の意味

雑誌を開けば、ヨーロッパの素晴らしいホテルやレストランがたくさん紹介されています。そのようなレストランを訪れて「すごーくよかったわ。しかも特別室に案内されたの」と喜んで土産話をなさる人がいらっしゃいます。でもそれは「特別室」ではなくて「隔離」かも。

パリを研修で訪れた国会議員たちが、観光スポットを訪れたのちレストランに行き、「個室」で食事をなさったそうです。その「特別扱い」の意味に気づかないといけません。それは「特別扱い」ではなく「隔離」。いかにも食事で騒ぎそうな日本人だと警戒されたのですよ。

とある旅行代理店主催のパリツアーで、「オテル・リッツ・パリ」でお食事をした方が、「特別室だったわ〜」と喜んでいましたが、これも「隔離」。おしゃべりがうるさいから。テーブルマナーがなっていないから。

日本人同士の海外旅行で、楽しく、リラックスして食事をしたいのは理解できますが、それならパブへどうぞ。ヨーロッパの五つ星ホテルやレストランでは、日本人団体客はうるさがられています。

五つ星ホテルに背もたれの高いイスがある訳

ロンドンの五つ星ホテル「ザ・サヴォイ」のお隣に、「シンプソンズ・イン・ザ・ストランド」という古いレストランがあります。奥のほうに、ハイバックのベンチのあるテーブル席があり、まわりからテーブルは見えません。ちょうど化粧室に行くときに通る場所なので、背もたれで囲まれた中をちらっと見たら、案の定、そこでは会社員とおぼしき日本人男性のグループがビールで乾杯していました。フロアの人と目が合うと、やれやれ、というようにウィンクしていましたが。

「シンプソンズ・イン・ザ・ストランド」や「ザ・サヴォイ」「クラリッジズ」のような格式のあるレストランで「ビールで乾杯」はやらないでください。それはマナー違反です。

シャンパンや白ワインで始めてください。ビールジョッキを傾けてお互いの労をねぎらいたいのなら、素敵なパブがいくらでもあります。