「私には売りがない」は思い込み

一方で「いい年になったけど、管理職に就いているとか、そんな優秀ではない。そもそも私に売りなんてあるのか?」と悩む人も多いです。売りが見つからないために、転職自体を諦めてしまうケースもあります。

1万人以上の就職・転職をサポートしてきた筆者の経験から言うと、「自分には売りがない」は、思い込みです。

例えば、

・ネガティブ要素がある
・そもそも大した仕事はしていない
・他よりも昇進・昇格が遅い
・上位の成績を残したことがない、高評価を受けたことがない

等で、自分に自信が持てなくて、売りに気づくことができていない、という、ただそれだけのことです。

大半の人には、転職市場でアピールできる「売り」が備わっています。こうしたケースの処方箋として(中高年ゆえに、恥ずかしさもあって、なかなかやらないのですが)、職場の仲間に「私の良いところをできるだけ複数、挙げてもらえるかな?」と依頼してみましょう。

そうすれば転職で売るべきものがきっと見つかるはずです。

「転職できればOK」ではない

内定を獲得するのがゴールなら、虚偽や誇張をフル活用したら達成するかもしれません。ただ、自身には備わっていないハイスペックさを売りにした経歴詐称で入社しても、その会社でやっていくのは無理でしょう。

大卒なのに高卒の枠で入職した某市役所の職員が、何十年も経ってからバレて非常に厳しい処分を受けたニュースを目にした人も多いでしょう。

転職ができればOKではなく、きちんと継続して働くことが大事です。

採用人事には全てお見通し

中高年がやりがちな虚偽、誇張に下記があります(↑は採用人事の目線)。

「バレないだろう」と思っているのは本人だけで、このように採用人事は全てお見通しだと思っておいてください。若手ならともかく、中高年がこれをやると致命傷ですが、後を絶たないのが現状です。

・組織の成果なのに、自分の手柄として伝える
 ↑たった一人でそんな偉業はなし得ないでしょう?

・部下の成果なのに、自分の手柄として伝える
 ↑今は一介のプレーヤーではないはずなのに、本当にあなたの成果?

・お飾りの役職だったのに、重責を担う職位だったと伝える
 ↑年功序列で何らかの役職を得る場合があるけれども、そこで実際何をやったかが大事でしょう?

・上から指示されて取り組んだことを、自分が考案したと伝える
 ↑そのポジションで、なぜそんな大それたことができる?

・ちょっと後輩の面倒を見ただけなのに、マネジメントスキルをPRする
 ↑このスキルがあるなら、会社から組織を任されているはずなのに、なぜそうではないのでしょう?

・「前年度比200%」と好成績をPRする
 ↑前年度の実績や課された数字が不明なので、何とも評価できません

・たまたま出せた好成績を猛烈にアピールする
 ↑当社に転職して、それを再現できるのでしょうか?

・10年前に記録したTOEICの高得点を元に、ビジネス英語力をPRする
 ↑実際にコミュニケーションがとれるかは、そもそも別の話です

面接を待っている人たち
写真=iStock.com/skynesher
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