「退職理由」は履歴書選考の成否を左右する

退職理由は100%聞かれます。採用人事が最も知っておきたい項目の一つです。履歴書選考の成否を左右します。

既に退職していればその理由を、在職中であれば現職を退職する理由を書きます。弊社の履歴書フォームでは150字くらいは書けるスペースがあります。

他のものでもスペースが確保されていますから、具体的かつ納得性の高い退職理由を書くことが求められます。

もちろん、ブランクのままや「更なるキャリアアップを目指すため、退職を決意しました」といった抽象的でボリューム不足なものは論外です。

中谷充宏『30代後半~40代のための転職「書類」 受かる書き方』(秀和システム)
中谷充宏『30代後半~40代のための転職「書類」 受かる書き方』(秀和システム)

「新卒での就活時期から貴社にずっと憧れがあって、ようやく今応募できる時期が来た。けじめをつける意味で前職を辞めた」といった、この年代に似つかわしくない、初々しすぎる内容ならば多少ネガティブな要素が入っていてもかまいません。

といっても、前職の不平不満や誹謗ひぼう中傷、恨み節といったネガティブワードのオンパレードでないことが大前提です。

ミドルの転職市場が多少にぎわってきたとはいえ、少々厳しい状況に置かれていたとしても中高年が高いリスクを負ってまで、わざわざ進んで退職などしないことを採用人事は重々知っているからです。

OK! 例①
前職では入社以来、約18年間営業一筋でしたが、昨年末に市場調査部門への異動を打診されました。この先も営業にキャリアの軸を置きたい旨を申し出ましたが、異動の方針は変わらず、最低3年は営業には戻れないとのことでした。営業職としてのブランクを空けたくない想いから、新天地を探すべく、人事異動発令前に退職いたしました。

前職の批判ばかりを展開したら当然NGですが、「異動を受け入れられず辞めた」ということなら、ネガティブな要素が入っていても差し支えありません。

逆に、すべてポジティブな要素だけで塗り固めると、「経験ある年代なのに現実を直視していない」と見られ、かえって怪しまれるケースもあります。

OK! 例②
コロナにより主要取引先が大打撃を受け、前職では前年度比売上50%ダウンと危機的状況に陥り、徹底したリストラ策を断行することになりました。今まで会社の成長を支えてきた同僚社員も次々とリストラされ、次は私ではないかと疑心暗鬼のまま働くのではモチベーションが保てませんので、一旦リセットして次を探そうと思い、退職を決意いたしました。

「経営再建に尽力すべきだ。途中で逃げ出すのは良くない」と見る向きもありますが、あいまいなポジティブワードで本質をごまかすより、地に足が着いた理由で納得を得やすいと言えます。

OK! 例③
前職では管理職候補として採用されましたが、勤務した約1年間は一般社員レベルの業務しか任されず、管理職への昇格は数年先であることを知らされました。管理スキルを伸ばしたいと考えて転職したのですが、このままでは貴重な時間を無駄にするだけと思い、退職を決意いたしました。

1年という短期間での自己都合退職でも、入社前後で話が大きく違ったというケースであれば、当時の状況が自分の想いや目標と合っていなかったことを実直に書くことで、採用人事に伝わりやすくなります。

履歴書を確認する人の手元
写真=iStock.com/AndreyPopov
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