女性活躍を実現する2つの研修とは

【木下】その後に始められた、中核部門における「自律的推進活動」についてお聞かせください。

【宮間】当社は幅広い領域の事業を展開しており、事業部制をとっています。事業部が違えば抱えている課題も違うため、それぞれの特性や状況に合わせて、各事業部で自立的にD&Iを推進してもらう仕組みにしました。

具体的には、全事業部に事業部長を委員長とする「D&I推進委員会」を設置して、それぞれで活動方針を定めて取り組みを行ってもらっています。また、D&I推進室が運営する研修で各事業部の推進リーダーを育成しているほか、優良事例や課題を共有する機会を半年に1回ほど設け、各事業部が刺激しあえる環境をつくっています。

【木下】D&I推進に関するそのほかの研修についてご紹介ください。

【宮間】女性活躍、ノーマライゼーション、LGBTQ+、アンコンシャス・バイアス、メンター育成などの研修があります。特に女性活躍に関しては、2017年から管理職一歩手前の女性社員に向けて、選抜型の「次世代女性リーダー育成研修」を開始しました。

その中で女性の課長への登用は着実に増えてきましたが、部長や本部長への登用は伸び悩んでいます。そこで、この課題を解決するため「スポンサーシッププログラム」と「実践型リーダーシップ研修」の2つを開始しました。

「スポンサーシッププログラム」は、課長級・部長級の女性管理職を対象に、上位職位登用に向けた能力開発をしていくもので、昨年2021年にスタートしました。他部門の執行役員や副事業部長などがスポンサーとなり、受講者が所属する部門の長も連携して育成に取り組んでいます。

昨年は10人が受講し、うち3人が部長に、1人が本部長に昇格しました。この成果には手応えを感じています。本人の意識だけでなく、スポンサーとなる経営層の意識も変わるため効果は大きいですね。スポンサーは全員男性ですが、2回目となる今年も皆さんが積極的に動いてくださっています。

【木下】「実践型リーダーシップ研修」についても教えてください。

【宮間】従来の「次世代女性リーダー育成研修」を改めたもので、今年から開始します。対象は同じく管理職一歩手前の女性社員ですが、選抜型ではなく全員に対して行うこととしました。彼女たちがこれからの管理職登用プロセスに自信をもって挑めるよう、リーダーシップなどに関する実践型研修を行う予定です。

受講者には「自分も活躍が期待されている」と感じ、意欲向上につなげてもらいたいと考えています。リーダーシップは管理職だけが発揮すればいいわけではありません。今の自分の役割は何か、それを果たすには何をすべきか。研修を通してそうした意識が醸成されるようにしていきます。

木下明子編集長
撮影=小林久井(近藤スタジオ)