老化によるシワ、シミも活性酸素が原因

このLINEに寄せられた投稿を分析すると、野菜スープを飲み始めて1カ月未満で、「体調がいい」と答えた人はそれほど多くないが、3カ月を超えると約7割が、6カ月を超えたら約9割が「体調がいい」と答えている。また「あまり感じない」と答えた人でも、全員が「今後も続けたい」と回答している。ちなみにこの証言で多いのが、「便の状態がよくなった」に次いで、「肌がきれいになった」と回答していることだ。後者に関しては、老化によるシワやシミは活性酸素が原因だから、当然かもしれない。

前田教授から、野菜の抗酸化物質は予防にはいいが、完全ながん細胞に変わってしまうと効果はないと言われたことがある。先ほどの体験談でも、がんが消えたといった証言がほとんどないのはそのためだろう。しかし、多くの患者は抗がん剤治療をしながら「体調がいい」と答えているのは非常に興味深い。

野菜スープにはぜひ豆類を使いたい

がんになる頻度は年齢のN乗に比例するといわれる。Nの値はがんによって違うが、いずれにしろ、免疫が落ち始める40代以降なら、いつがんになってもおかしくないと考えるべきで、できれば、図表1の右上にある、チシャ、黒豆、小豆、緑豆、大根(葉)、ごぼうなども野菜スープに加えたい。

奥野修司『野菜は「生」で食べてはいけない』(講談社)
奥野修司『野菜は「生」で食べてはいけない』(講談社)

特に豆類は、同時にタンパク質も摂れてバランスがいいから、嫌いでなければぜひ使いたい。ちなみに独特な香りがするよもぎだが、本土より沖縄産のよもぎ(フーチバー)のほうが、強い紫外線にさらされるだけあって、抗酸化活性は高いそうだ。よもぎをよく食べる沖縄のオバアたちが長生きするのは当然かもしれない。そういえば、オバアたちがよく食べる「ボロボロジューシー(おじや)」は、野菜スープのようなものだ。

ところで、2022年になっても新型コロナによるパンデミックは収まりそうもないが、前田教授が生前語っていたところによると、野菜スープに含まれる成分は感染予防にも有効で、感染してもウイルスの侵入で発生した活性酸素を抑えてくれるので炎症が起こりにくくなるという。

奥野 修司(おくの・しゅうじ)
ノンフィクション作家

1948年大阪府生まれ。『ナツコ 沖縄密貿易の女王』(文春文庫)で講談社ノンフィクション賞と大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。著書に『ねじれた絆』(新潮社、後に文春文庫)、『心にナイフをしのばせて』(文春文庫)、『魂でもいいから、そばにいて 3.11後の霊体験を聞く』(新潮社)、『天皇の憂鬱』(新潮新書)、共著に『怖い中国食品、不気味なアメリカ食品』(講談社文庫)、などがある。