意見交換会・交流会で課題を共有

第2部ではZoomのブレイクアウトルーム機能を使って、参加者同士の意見交換会・交流会が行われました。参加者は5つのグループに分かれて、第1部の内容を基にディスカッション。その後、各グループの意見を代表者が発表しました。

参加者同士の意見交換会・交流会
撮影=小林久井(近藤スタジオ)

ルーム1の代表者は、ディスカッションの中で、企業によって環境や男女の平等度にかなり差があると気づいたそう。その差を踏まえた上で、自社の具体的な施策を紹介し合い、さらには女性としての思いについても意見を交換したと語りました。

ルーム2では、まず各社の女性活躍の現状について、次にそれぞれが持つ課題感について語り合ったそうです。トップと現場の管理職の意見が一致していない、女性を育成したくても会社が人材投資に積極的でないなど、人事担当者ならではの悩みを皆で共有できたと言います。

ルーム3では、「どうしたら女性管理職を増やしていけるか」が焦点に。管理職と幸福度の関係を上手に伝えていこうということで意見が一致したほか、代表者は「メンター制度を実施している社の事例や成果も聞くことができた」と大きな収穫を得た様子でした。

ルーム4の参加者には「他者評価は高いのに自己評価が低い女性が多く、昇進の土俵に上がろうとしてこない」という共通の課題があったそうです。この課題を解消するには、女性ならではの特性を上司や男性社員に認識してもらい、その上で1対1での話し合いや個別対応を行っていくことが大事だという結論に。さらに代表者は、トップ自らが女性活躍の意義を発信することも重要だと訴えました。

ルーム5では、女性社員を育成する立場にある上司への研修施策を共有。予算が人材投資にまで回らず、ダイバーシティというテーマだけでは研修を実施しにくい現状が浮き彫りになったと言います。また代表者は、管理職を経験した女性参加者の「一緒に仕事をする中で管理職って楽しそうだなと思ってもらうことが大事」という言葉が印象的だったと語りました。

女性活躍に取り組む人事・ダイバーシティ担当者という点は同じでも、企業が違えば風土も職場環境も違うもの。そうしたなかで、今回のディスカッションは他社の現状や具体的な施策を知るよい機会になったようです。

発表後、木下編集長は「トップと現場の上司の意識、日本女性特有の自己評価の低さなどが課題」と総括し、続けて参加者の皆さんにエールを送りました。

「今後は、人材投資のありかたが企業の生き残りのカギになってくると思います。ですから、皆さんはどうかくじけずに挑戦し続けてください。私たちも課題解決のお手伝いができるよう、一緒に頑張っていきます」

構成=辻村洋子

宮原 淳二(みやはら・じゅんじ)
東レ経営研究所ダイバーシティ&WLB推進部長

資生堂に21年間勤務し、多岐にわたる業務を経験。中でも人事労務全般に携わる期間が長く、人事制度企画から採用・研修まで幅広く担当。男女共同参画・ワークライフバランスの分野では社内で中心的な役割を担い、社員の意識調査や先行他社事例などを研究し実践した。2011年より現職。ワークライフバランス、ダイバーシティ、業務効率化などをテーマとした講演も多数。

木下 明子(きのした・あきこ)
プレジデント ウーマン編集長