「管理職=滅私奉公」は思い込み

一方、「周りの管理職の嫌なふるまいは何か」という問いでは男女差がくっきり。男性は「話が論理的でない」、女性は「相手によって態度を変える」が1位で、さらに「ワークライフバランスを無視して働く」は女性のほうが圧倒的に否定派が多いという結果が出ました。

「女性は正義感が強いのか、上にはゴマをすり下には偉そうにする上司を反面教師としている方が少なくありません。そして男性は、長話を聞くのが苦手で『先に結論を言って』というせっかちな方が多い様子。でも、部下の話は時間をかけてしっかり聞くべきですね。そうでないと、いずれ部下が意見や相談をしてくれなくなってしまいます」(宮原)

そのほか、管理職になる前にやっておけばよかったこととして、女性からは経営学やファイナンスの勉強、社内交流などが挙がりました。宮原さんと木下編集長は「男性は飲み会などの場で上司から処世術を学んだり、そろそろ昇進だから勉強しておけと言われたりすることもあるが、女性はそうした機会が得にくいのでは」と分析。この部分の男女差をなくすには、上司が指導の場を広げる必要がありそうです。

次のテーマは「人生における幸せと悩み」。木下編集長から、管理職のプライベート面に迫る調査結果が紹介されました。複数の設問から見えてきたのは、女性管理職には仕事に幸せを感じている人が多く、さらにプライベートの満足度も非常に高いという意外な事実。管理職は家庭や私生活を捨てて滅私奉公するものというイメージを持つ女性も少なくありませんが、実際は真逆のようです。

「調査結果を見ると、管理職になっても家庭や趣味との両立をそこまで心配する必要はなさそうです。でも、間違った思い込みから管理職になることを敬遠する女性も。人事担当者の方は、そうした思い込みをなくせるよう努めていただけたらと思います」(木下)

勉強会の様子
撮影=小林久井(近藤スタジオ)

一方、悩みについては、女性は心身の健康や人間関係、男性は仕事やお金絡みのことが多い傾向に。特に女性は、人間関係によってモチベーションがかなり左右されやすいそうです。

「部下が人間関係について相談してきたら、『そんなこと気にするな』はNG。上司の方はしっかり話を聞いて、仕事に影響が出る前に、相手との間に入って対話を促してほしいと思います」(宮原)

プレジデント ウーマン 木下明子編集長
撮影=小林久井(近藤スタジオ)
プレジデント ウーマン 木下明子編集長