(1)クラウド化する世界
ニコラス・G・カー

(2)その数学が戦略を決める
イアン・エアーズ

技術革新はビジネスや生活を大きく変える。(2)は兆単位のデータの集積技術により、身の回りのあらゆる事象を「絶対計算」で説明しようとする書だ。

(3)クリエイティブ・クラスの世紀
リチャード・フロリダ

(4)ウィキノミクス
ドン・タプスコットほか

(5)戦略シフト
石倉洋子

今、世界規模で起きつつある人材面、ものづくり面の大変革について論じた3冊。(4)では、自社がもつアイデアや技術を不特定多数に対して開放し、数十万ものパートナーと共働する生産の形態と、その先行事例が満載されている。(5)の拙著では、日本企業がこうした大変革を受け容れ、新たな価値を創出していくための戦略を提案した。

(6)「アジア半球」が世界を動かす
キショール・マブバニ

(7)ポスト・クライシスの世界
田中明彦

国際的な力関係を把握するには、歴史を知り、多様な情報源に接することが必須。(7)を読むと国際政治の潮流がわかる。歴史や構造的視点から現代世界の全体像をあぶり出し、日本が今後果たすべき役割を考察している。

(8)21世紀の歴史
ジャック・アタリ

(9)暴走する資本主義
ロバート・B・ライシュ

(8)は世界の国家、資本主義のこれからを大胆に著し、ヨーロッパでベストセラーになった。今回の金融危機を予見したことでも有名だ。しかし、ゆきすぎた資本主義への反省はあっても、資本主義に代わるものがあるわけではない。当面は解決が困難であろうこの課題に取り組むのが(9)。この先の世界はどうなっていくのかを考えるための2冊。

(10)明日を支配するもの
P・F・ドラッカー

10年前の書だが、今読み直しても古びた印象がまったくない。企業や法、国境などの枠組みや、従来の常識を前提としたマネジメントを否定、新時代のリーダーのあり方を知るのにおすすめ。

(11)ネクスト・マーケット
C・K・プラハラード

(12)国をつくるという仕事
西水美恵子

貧困問題に独自の視点で接する2冊。(11)は貧困層40億人を慈善や援助の相手ではなくビジネスの対象とすることの重要性を指摘。(12)では日本人として初めて世界銀行副総裁となった著者が「国づくり」を通じての出会い、貧困と戦うリーダーについて語る。現場の体験がいかに重要かについても考えさせられる。

※すべて雑誌掲載当時

(西川修一=構成 市来朋久、芳地博之=撮影)