「圭さんのお母様の元婚約者の方への対応は、私がお願いした方向で進めていただきました。圭さんの留学については、圭さんが将来計画していた留学を前倒しして、海外に拠点を作ってほしいと私がお願いしました」
深読みすれば、秋篠宮は娘が夫の非を自分が全部かぶるという健気な“覚悟”を知っていたから、哀れに思い、あえてそこには触れなかったということも考えられないではない。
だが、この本を読んだ読者の多くは、そうはとっていないようだ。
優柔不断な弱い父親像しか見えてこない
毎日新聞で江森氏の後輩にあたる森暢平成城大学教授は、サンデー毎日(5月19日号)でこう書いている。
「江森さんの新著は非常に興味深い。だが、秋篠宮さまの両義性がそのままに記録されている。新著が、宮さまからの『国民』へのメッセージでもあるとしたら、自らの矛盾が大混乱の一因であることには自覚的であってほしかった。
皇族である前に一人の人間であるというのが江森さんの趣旨である。そうであるならば、秋篠宮さまには、親としてどんなことがあっても娘を守るという姿勢こそお示しになってほしかった」
一人の父親として、娘の結婚をどう考え、その相手に具合の悪い過去をメディアで流布されたとき、その相手を娘の婿として認めたのか認めなかったのかが、本を読む限り見えてこない。
先週も書いたように、皇室にいる立場から憲法は遵守しなくてはいけない。したがって娘の結婚に反対することはできないから、認めるというのでは、親としての責任放棄だといわれても仕方ないのではないか。
秋篠宮の肉声からは、娘の結婚問題に関する限り、優柔不断な弱い父親像しか見えてこないのである。
先の森教授は、秋篠宮が小室圭さんに対して、母親と住んでいる横浜市のマンションの警備のありようについて検討するよう伝えたというくだりは、意味が分からないと書いている。
税金の話を漏らすことが「浪費」批判を招いたのでは
「小室さん母子の自宅を警備すると決めたのは警察である。小室さんに『検討するよう』伝えたとしても、小室さんが決定できる問題でもない。秋篠宮さまの発言は何を意味しているのだろうか」
と疑問を投げかける。秋篠宮が皇室と税金の関係に敏感であることは分かるが、
「皇族自身が、皇室と税金の関係について敏感であればあるほど、税金批判をさらに集めるという構図もある。税金との関係を秋篠宮さま周辺が、メディア関係者に漏らすことによって、税金『浪費』批判を招いたという側面はなかったろうか」
眞子さんが皇室を出るとき、1億数千万円といわれる一時金を辞退した。だが、眞子さんが毎年もらっていた皇族費が1億円は貯まっているから、当面、おカネのことを心配することはない。