ダイエット中も1日600mgのカルシウムを

カルシウムは30歳までにしっかり骨に蓄えないと、老年期に骨粗鬆症になって家の中で転んでも骨折してしまいます。

菅沼安嬉子『私が教えた 慶應女子高の保健授業 家庭で使える大人の教養医学』(世界文化社)
菅沼安嬉子『私が教えた 慶應女子高の保健授業 家庭で使える大人の教養医学』(世界文化社)

とくに10代のうちにカルシウムをしっかり摂って、重力に逆らった運動をするのが、骨を丈夫にするコツです。カルシウムの必要量は1日600mgとされています。たとえば牛乳コップ1杯(200mL)、ヨーグルト200mL、三角チーズ1切れがそれぞれ200mgです。どんなにダイエットをしている時でもこれ以下にしないようにして下さい。

小魚の骨でもよいのですが、乳製品のカルシウムの方が吸収がよいので、低脂肪とか無脂肪の牛乳やヨーグルトを選ぶとよいでしょう。

日光に当たりすぎは皮膚がんの心配がありますが、全く当たらないとビタミンDが活性化しないのでカルシウムの吸収が悪くなりますから、骨のために適当な日光浴も必要です。

骨内のカルシウム量からみた骨粗鬆症の病態
出典=林泰史「骨粗鬆症 治療へのアプローチ③骨粗鬆症の病態と症状」日医雑誌 第124巻第9号2000年

運動では痩せない! ダイエット成功のカギは食事との掛け合わせ

適度な運動はぜひやってほしいのですが、運動しているからと安心すると、ダイエットは失敗します。運動で消費するカロリーは思いのほか少ないのです。カステラを1切れ食べたら、どのくらいジョギングをしなくてはならないと思いますか。45分です。そんなに走ったら、また、アイスクリームやジュースが欲しくなってしまいます。運動は、体の余分な脂肪を落として筋肉を付け、均整のとれた体にするためのものです。食事と上手に組み合わせて下さい。

このような基本を身に付けると、時々はフランス料理のフルコースやケーキを食べても、太らない体になっていきます。ダイエットによい食事や生活スタイルは、動脈硬化になりにくく生活習慣病の予防やがんの予防にも一役買う、医学的に見ても理想的なものです。ダイエットのための12カ条は、がん予防の12カ条をもじって私が作ったものですが、痩せたいと思っている人は参考にして下さい。私は女子高生の頃、一日5食食べて60kgでした。今は12カ条を実践して、162cm、52kgです。

ダイエットのための12カ条
図表提供=筆者
菅沼 安嬉子(すがぬま・あきこ)
内科医

1943年、東京生まれ。68年、慶應義塾大学医学部卒業、内科学教室入室。2020年3月、女性で初めて慶應連合三田会会長に就任。菅沼三田診療所副院長。慶應義塾評議員他、多数務める。1985~2000年までの15年間、医師として診療を行うかたわら、慶應義塾女子高等学校で保健授業の講師を務めた。