恒大集団、佳兆業集団…次々と決算発表を延期

不動産市況は悪化するだろう。足許、上場規則で定められた3月末までに2021年の監査済み決算を公表できない不動産デベロッパーが増えている。主な企業として、中国恒大集団(エバーグランデ)や佳兆業集団(カイサ・グループ)、緑地香港(グリーンランド・ホンコン)、宝龍地産(パワーロング・リアルエステート)などが決算発表を延期した。

デベロッパーの本格的なデフォルトや経営破綻のリスクを低下させるべく地方政府は支援を強化している。その上で、共産党政権は民間の不動産企業を救済するのではなく、資産の切り売りを加速することによって不動産市況を安定させようとしているが、事態は好転していない。

中国不動産セクターから撤退する大手監査法人も出始めた。計算方法にもよるが、中国のGDPの30%近くを占めると言われる不動産関連セクターで企業の資金繰りはさらに悪化し、事業運営に行き詰まる企業は急増する恐れがある。それは経済成長率の低下要因だ。

IT先端企業への締め付けを強めているが…

現在、共産党政権はIT先端企業への締め付けを強めている。貧富の格差拡大阻止の姿勢を示すことに加えて、政権に対する不満を高めかねないSNSなどを抑え込む必要がある。現時点では、習氏の政権基盤が揺らぐ状況には至っていないものの、先行きは楽観できない。例えば、不動産市況の悪化が深刻化すれば、保有してきた財産価値の急減に直面する人は増える。その結果、国民の生活が苦しくなってくる。

それは政権に対する不満を高めることになりかねない。今年秋の党大会を控える習氏は、なんとしても求心力を保たなければならない。アリババやテンセントなどへの締め付けは想定以上に強まる可能性がある。3月下旬にテンセントは共産党政権の規制強化に従うと恭順の意を示した。

それによって民間企業の創業経営者は当局からの圧力に対応しつつ、より自由度の高い国で新しい取り組みを進めようとするだろう。やや長めの目線で考えると、IT先端企業への締め付け強化によって中国から海外に流出する生産要素(ヒト、モノ、カネ)は増えると考えられる。